1999 Fiscal Year Annual Research Report
岩礁生態系のケミカルシグナルを介した種間関係の解明に関する生態学的研究
Project/Area Number |
09306012
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 和也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40282082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵多 一哉 国立函館工業高等専門学校, 工業化学科, 教授 (20041915)
大森 迪夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60152253)
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Keywords | 海藻群落 / ケミカルシグナル / アミジグサ / 植食動物 / 生活史 / 動物群集 / 化学的防御 / 摂食阻害活性 |
Research Abstract |
1.海藻のケミカルシグナルの探索と機能解明:アミジグサ目褐藻シマオオギ,ウスユキウチワ,ウミウチワ,オキナウチワ,ヤハズグサのアセトン抽出物を用いてエゾアワビに対する摂食阻害試験を行った結果,いずれも中性部と酸性部に危険率5%以上の高い摂食阻害活性が認められた。活性物質の単離精製は今後の課題である。 2.動物群集構造と主要な植食動物の生活史:生態相関物質としての9種のジテルペンを生産するフクリンアミジ群落は,9月に胞子体が四分胞子を形成して10月にはほとんど枯死脱落するが,四分胞子由来の11月から発芽した配偶体が翌5月成熟し,接合子由来の胞子体は発芽から16ヶ月後の翌年9月に再び成熟するという生活史をもつことがはじめて明らかになった。フクリンアミジ群落に生活史をもつことがはじめて明らかになった。フクリンアミジ群落に生活の場を持つと考えられる微小な腹足類と甲殻類,ならびに棘皮類は,フクリンアミジ群落の季節変化と同調する種,それと独立して変動する種,発生初期の生活の場とする種の3グループに分けられた。フクリンアミジとこれらの動物との関係を化学生態学的に検討する必要がある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 林育夫ら: "葡蔔性動物,特に巻貝類とウニ類の日周行動実験システムの開発"日水研報告. 1-12 (1999)
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[Publications] K.Kurataら: "Diterpenoid feeding-deterrents from Laurencia saitoi"Phytochemistry. 47. 363-369 (1998)
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[Publications] M.Sanoら: "Distribution of the sea urchin Strongylocentrotus nudus in relation to marine algal zonation in the rocky coastal area of the Oshika Peninsula,Northern Japan"Benthos Research. 53. 79-87 (1998)
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[Publications] 野村宗弘ら: "内湾の水質浄化における海藻の役割"日本沿岸域学会論文集. 10. 125-136 (1998)
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[Publications] K.Kurataら: "Feeding-deterrent bromophenols from Odonthalia corymbidera"Phytochemistry. 45. 485-487 (1997)
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[Publications] 谷口和也: "海藻群落形成に関する生態生化学的研究"日本誌. 63. 309-312 (1997)
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[Publications] 谷口和也 編著: "磯焼けの機構と藻場修復"恒星社厚生閣. 120 (1999)
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[Publications] 谷口和也: "磯焼けを海中林へ-岩礁生態系の世界-"裳華房. 196 (1998)