1998 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖系人工照明下での植物苗の高速安定生産のための環境調節法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09306017
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古在 豊樹 千葉大学, 園芸学部, 教授 (90081570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
全 〓厚 千葉大学, 園芸学部, 助手 (90301093)
久保田 智恵利 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (00280917)
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Keywords | 閉鎖系 / 人工光 / 苗生産 / 省資源 / エネルギー収支 / 物質収支 / 環境調節 |
Research Abstract |
閉鎖型苗生産システムモジュールを試作し、エネルギー、水、CO_2それぞれの収支式をたてて、個々の効率的利用方法を解明した。さらに、個体群を形成している植物体周辺の気温、二酸化炭素濃度などが、風速などの環境条件及び植物体自身の純光合成速度などにより受ける影響について検討した。 試作した閉鎖型苗生産システムモジュールは、モジュール内壁を反射シートで覆い、育苗棚(総育苗面積2.1m^2、設置面積0.7m^2、収納苗トレイ数15)が設置されている。システムの換気回数は約0.1h^<-1>である。本システムについて、水収支、CO_2収支、エネルギ収支の各式をたてた。さらに、得られた収支式より、育苗中の水、CO_2、エネルギの各利用効率を算定した。育苗期間(14日間)にシステム内に輸送した水量(灌水量および加湿水量)に対する、システムより回収された水量(空調機による除湿水量および植物体内貯留水量)の比(システムの水利用効率)は0.91となり、温室において試算された値(0.03)よりも30倍も高い数値を得た。同様に、システム内へのCO_2輪送量(施用量)に対する回収量(植物体増加乾物質当量)の比(システムのCO_2利用効率)は0.84と、高い値を示した。一方、システム内へのエネルギ投入量(照明、空調、および室内設備の消費電力量)に対する回収量(植物体増加乾物質当量)の比(システムのエネルギ利用効率)は0.005であった。このエネルギ利用効率の理論的上限は0.02程度であると試算される。エネルギ利用効率を向上させる手段としては、1)生育段階にあわせたPPFの調節、2)光合成有効放射へのエネルギ変換効率が高い照明器具の利用、3)換気による冷房負荷の軽減、などが考えられる。人工光を用いた本育苗システムは、省資源的であり、環境汚染がなく、かつ節電的であり、また高品質苗を高速安定生産できるので商業化が可能と考えられる。
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[Publications] 大山克己: "人工光型植物苗工場における消費電力量と電力料金の試算例" 植物工場学会誌. 10(2). 96-107 (1998)
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[Publications] Niu,G.: "Simulation of CO_2 concentration in the culture vessel and growth of plantlets in micropropagation" Acta Hort. 456. 37-43 (1998)
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[Publications] Nguyen,Q.T.: "Environmental effects on the Growth of Plantlets in Micropropagation" Environmental Control in Biology. 36(2). 59-75 (1998)
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[Publications] 渋谷俊夫: "気流速度が人工光源下におけるトマトセル成型苗個体群の純光合成速度および蒸散速度に及ぼす影響" 生物環境調節. 36(3). 131-136 (1998)
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[Publications] Niu,G.: "A System for Measuring the In Situ CO_2 Exchange Rates of In Vitro Plantlets" Hortscience. 33(6). 1076-1078 (1998)
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[Publications] Kitaya,Y.: "Photosynthetic Photon Flux,Photoperiod and CO_2 Concentration Affect Growth and Morphology of Lettuce Plug Transplants" Hortscience. 33(6). 988-991 (1998)
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[Publications] 古在豊樹: "植物組織培養の新段階培養器環境から地球環境へ" 農山漁村文化協会, 172 (1998)
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[Publications] Kozai,T.: "Artificial Intelligence in Agriculture" IFAC, 223 (1998)