1998 Fiscal Year Annual Research Report
水棲哺乳動物の肝異物代謝酵素を利用した水圏複合汚染評価法の開発
Project/Area Number |
09306021
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩田 久人 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助手 (10271652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 農学部, 教授 (60116952)
数坂 昭夫 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (00002113)
藤田 正一 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (10143314)
|
Keywords | 海棲哺乳動物 / チトクロームP450 / 環境汚染 |
Research Abstract |
今年度は海棲哺乳類におけるシトクロムP450のDNA解析をおこなった。P450は生体内に於いて、薬物や発癌性物質・環境汚染物質などの外来異物の他、ステロイドホルモン・脂肪酸などの内因性基質といった広範囲に至る物質の代謝を担う重要な酵素である。近年の急激な遺伝子工学技術の発展に伴い、様々な生物種のP450cDNAやゲノム配列が明らかにされてきた。本研究ではミンククジラ・イシイルカ・トド・ゴマフアザラシ、及びクラカケアザラシの5種の海生哺乳類に存在するP450cDNA塩基配列の一部を解析し、NelsonらによるP450命名委員会より得た既知のデータを基に、他の哺乳類の塩基配列結果も含め、系統樹を作製した。 分子系統学的解析の結果、鯨類と鰭脚類のP450は各々が独立したクラスターを形成することが明らかとなった。また鯨類は偶蹄類と分子系統学的に近縁の関係にあることが示された。後者の結果は、これまでに他のグループがミトコンドリアDNAを用いて行った研究結果と合致するものであった。 海棲哺乳類は陸生の動物種とは異なる異物代謝酵素活性を有することが示唆されており、今後発現P450による解析を進めることによって、その特異的性質が明らかになるものと期待された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Hoshi,H.: "Organochlorine pesticides and polychlorinated biphenyl congeners in wild terrestrial mamals and binds" Chemosphere. 36・15. 3211-3221 (1998)
-
[Publications] Ishizuka,M.: "Accumulation of halogenated aromatic hydrocarbons and activities of cytochrome P450" Environ.Toxicol.Chem.17.8. 1490-1498 (1998)
-
[Publications] Tanabe,S.: "Butyltin Contanination in marine mammals from North Pacific" Environ.Sci.Technol.32・2. 193-198 (1998)
-
[Publications] Iwata,H.: "Enantioselective accumalation of α-HCH in northern fur Seals" Environ.Sci.Technol.32・15. 2244-2249 (1998)
-
[Publications] Jerzy,F.: "Polychlorinated bipremyls and DCs in water of the Vistula River." Organohalogen Compounds. 39・1. 215-219 (1998)
-
[Publications] Jerzy,F.: "Seasonal Concentration of PCBs and DCs in the ambient air" Organohalogen Compounds. 39.1. 219-222 (1998)
-
[Publications] 岩田 久人: "沿岸の環境圏" (株)フジ・テクノシステム, 890 (1998)