1998 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞の増殖・分化におけるプロスタグランジンとヒスタミンの機能
Project/Area Number |
09307052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 厚 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10025695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 幸彦 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (80243038)
根岸 学 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60201696)
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Keywords | マスト細胞 / 細胞分化 / ヒスタミン / プロスタグランジン / ヒスチジンデカルポキシラーゼ / プロスタグランジン受容体 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本年度の実験計画に従い以下の研究成果を得た。 (1) マスト細胞の増殖・分化におけるPG/LTとヒスタミンの機能解析:マウス骨髄細胞をIL-3存在下に培養し、IL-3依存性のマスト細胞に分化させる系を確立した。このマスト細胞はlgE依存性のヒスタミン分泌を起こす。lgE刺激によりCOX-2が誘導され、大量のPGD_2と少量のPGE_2を産生するとともに、PGD_2とPGE_2の受容体を発現する。cAMPはこの細胞の分化を促進する。現在、COX及びPG受容体の遺伝子発現を制御する因子の解明を行っている。 (2) LT受容体遺伝子の発現解析:培養IL-3依存性マスト細胞におけるLT受容体遺伝子の発現を解析したが、この細胞での発現量が低いため解析はできなかった。 (3) PG受容体とヒスタミン合成酵素の欠損マウスの作製とその個体レベルでのマスト細胞の分化を主体とする形質発現の検討:本年度は、PGE_2受容体サブタイプのEP3及びEP4遺伝子欠損マウスの主な表現形質の変化を解析した。その結果、EP3は細菌による発熱反応に、EP4は動脈管閉鎖反応の生理機能に開与していることがわかった。また、ヒスタミン合成酵素(HDC)の遺伝子欠損マウスを作製した。ホモマウスの形質変化として、上記(1)の実験方法により検討したところ、ホモマウス由来の骨髄細胞は、野生株マウス由来の骨髄細胞に比べ、IL-3依存的に増殖・分化するマスト細胞数が非常に多いことがわかり、ヒスタミンがマスト細胞の前駆細胞からの増殖・分化を抑制的に調節している可能性が示唆された。一方、ホモマウスは野生株マウスでは胃酸分泌を起こさない程度の微量のヒスタミン刺激により強い胃酸分泌反応を起こした。これらの結果は、ヒスタミンがマス卜細胞の前駆細胞とECL細胞で異なる遺伝子レベルでの制御を行っている可能性を示唆するものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Katsuyama,M.,et al.: "Characterization of the LPS-Stimulated Expression of EP2 and EP4 Prostaglandin E Receptors in Mouse Macrophage-like Cell Line,J774.1." Biochem.Biophys.Res.Commun.251. 727-731 (1998)
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[Publications] Suzuki,S.,et al.: "Membrane targeting and binding of the 74-kDa form of mouse L-histidine decarboxylase via its carboxyl-terminal sequence." FEBS Letters. 437. 44-48 (1998)
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[Publications] Ushikubi,F.,et al.: "Impaired febrile response in mice lacking the prostaglandin E receptor subtype EP3." Nature. 395. 281-284 (1998)
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[Publications] Ohuchi,Y.,et al.: "Induction of histidine decarboxylase in type 2 T helper lymphocytes treated with anti-CD3 antibody." Inflamm.Res.47・1. S48-S49 (1998)
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[Publications] Ichikawa,A.,et al.: "Benzamidine-sensitive proteinase in activated cleavage of recombinant 74kDa histidine decarboxylase into its 53kDa form in mastocytoma cells." Inflamm.Res.47・1. S46-S47 (1998)
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[Publications] Tanaka,S.,et al.: "Intracellular Localization of the 74- and 53-kDa Forms of L-Histidine Decarboxylase in a Rat Basophilic/Mast Cell Line,RBL-2H3." J.Biol.Chem.273・14. 8177-8182 (1998)