1998 Fiscal Year Annual Research Report
多核多次元NMR法で見る生体超分子形成の機構-サイトカインレセプター複合体の動的構造解析
Project/Area Number |
09307054
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 祐次 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (20127228)
|
Keywords | BMPレセプター / 構造活性相関 / NMR / 立体構造 / 複合体形成 |
Research Abstract |
タイプIBMPレセプターの細胞外ドメインについて、大腸菌を利用した発現及び精製の手法を確立することを試みた。結果として、分子内で正しいジスルフィド結合が形成され、リガンドへの結合活性を持ったレセプターを大量に得ることができるようになった。結合活性の測定のためには分析用超遠心機による沈降平衡法・沈降速度法を用いた結合定数を定量的に見積もる方法論を確立することができた。また表面プラズモン共鳴センサーを活用した速度論的な解析も行った。さらに、構造活性相関を研究するために、各種のアミノ酸置換変異体や、TGFβレセプターとのキメラ体などを上述の系を応用して調製、結合活性の測定を行い、リガンド結合能に寄与しているアミノ酸残基を特定することができた。また、15N、13C等の安定同位体でラベルしたサンプルをNMR測定に十分な量得ることができ、そのサンプルについて各種の多核多次元NMRを適用した結果ほとんど全ての核のケミカルシフトを帰属することができた。またNOE等の構造情報を収集しレセプター分子の立体構造を決定することに成功した。またリガンド結合の際のケミカルシフトの変化を観測することで、リガンド結合-複合体形成の様子を原子レベルでモニターすることが可能になった。現在は複合体形成による情報伝達機構の解明を目指し複合体のNMRによる解析を進めているところである。またリガンド認識・複合体形成におけるタイプIBMPレセプターとタイプIIBMPレセプターとの差異について知見を得るため、タイプIIBMPレセプターについても同様の研究を進めている。
|
-
[Publications] Uchiyama,S.: "Measurement of Thermodynamic Quantities in the Heating-Rate Dependent Thermal Transitions of Sequenced Polytripeptides." Chem.Phys.Lett.281. 92-96 (1997)
-
[Publications] Kai,T.: "NMR Observation of Ttwo States of Triple Helix in the Thermal transition of(Pro-Pro-Gly)10." Chem.Phys.Lett.281. 86-91 (1997)
-
[Publications] Hasegawa,J.: "Solution Structure of Thermostable Cytochrome c-552 from Hydrogenobacter thermophilus Determined by H-NMR Spectroscopy." Biochemistry. 37. 9641-9649 (1998)
-
[Publications] Tamaoki,H.: "Folding Motifs Induced and Stabilized by Distinet Cystine Frameworks." Protein Engineering. 11. 649-659 (1998)
-
[Publications] Ogawa,K,: "Conformation analysis of eel Calcitonin Comparison with the Conformation of Elcatonin," Eur.J.Biochem. 257. 331-336 (1998)