1998 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚にやさしい衣服のための基礎研究-生体との接触界面における繊維の表面解析-
Project/Area Number |
09308001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kacho Junior College |
Principal Investigator |
内田 惠美子 華頂短期大学, 生活学科, 教授 (10086019)
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Keywords | 表面改質 / 親水性モノマー / ポリエステル / 抗菌性 |
Research Abstract |
素材自体の持っている優れた力学特性はそのままにして、生体と接触する表面のみを改質し、肌触り、濡れた肌との摩擦抵抗の軽減、抗菌性、消臭性などの新しい機能性を持つ繊維を開発するための基礎研究を行ってきた。 今年度は主に、抗菌性に焦点を絞って、研究を行った。抗菌性表面を調整する方法として、(1)抗菌性を持つポリマーを直接繊維表面にコーティングする。(2)抗菌性をもつ銅や銀を担持できるモノマーを繊維表面にグラフト重合する。2つの方法を検討した。(1)の方法は2wt%ポリエチレンイミン(PEI)のメタノール溶液中に繊維を3時間浸漬し、熱処理を行った。PEIの分子量が高いほど、処理温度が高いほど吸着されたポリマー量は多い。このポリマーは2級アミンであるため、表面はカチオン性であり、それ自体抗菌性を持っているが、銅イオンとの配位結合で、銅を繊維表面に導入して抗菌性を持たすことも可能である。これらの繊維の抗菌性を黄色ブドウ球菌を用いて確かめた結果、初期菌数(7.3x10^5個)が18時間後にはそれぞれ、10個以下と2.3x10^2個まで減少した。さらに、この手法は綿、ナイロン、絹繊維にも有効であった。(2)の方法は銅と配位結合できる配位基(カルボキシル基)をもつメタクリル酸(MAAc)の光グラフト重合である。これらのグラフト重合量は染色法で定量し、グラフト表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した。銅の導入はX線光電子分光法(XPS)で確認した。銅を導入したMAAcグラフト化ポリエステル繊維の抗菌性も同様に18時間後で10個以下に減少した。 また、種々のグラフト化フィルムの摩擦係数を摩擦感テスターで測定した結果、ノニオン性であるアクリルアミドをグラフト重合した場合がもっとも湿潤時の摩擦係数が小さいことが解った。
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