Research Abstract |
本研究の最終年度に当たり,各研究分担者は,昨年度からの各自の研究を継続するとともに,まとめを行い,得られた知見を報告書にまとめた。本年度の研究で得られた成果の概要は,次のとおりである。 教材開発のための基礎的研究:(1)田川は,浸透ぬれ速度と繊維基質に対する液体の接触角を測定し,液体の性質や繊維集合体の毛管構造等の浸透ぬれの要因を検討した。 (2)宮本は,電導度ストップトフロー装置を用いて,固体粒子汚れモデルとしてのポリスチレンラテックス粒子への界面活性剤の吸着速度測定の教材化について検討した。 (3)後藤は,モデル洗浄系の実験により,シラン化処理シリカへのポリマー粒子の付着現象は,表面自由エネルギーと界面動電位から算出した全相互作用エネルギーで説明できることを見出した。 (4)藤井は,油汚れのモデルとしての炭化水素汚れが,陰イオン界面活性剤/co-surfactant/塩水の共存する系で,自然乳化によって除去される過程を,ビデオカメラで映像化することを試みた。 (5)多賀谷は,洗剤の適正使用教育支援のための教材開発を目的として,布を充填したカラムにモデル油性汚れを点着し,洗剤溶液で展開する,洗浄力評価法を開発した。 (6)岡田は,家庭用全自動洗濯機並びに市販洗剤の洗浄性能を調べ,渦巻式洗濯機では被洗物の洗濯槽内の位置によって洗いむらが大きいこと,ドラム式は洗いむらが小さいこと,また,市販洗剤の種類により洗浄性能の差がかなり大きいことを見出した。 教材開発に関する実践的研究:(1)杉原は,試作した5種類の簡易反射率計を用いて種々の試料を測定し,その有用性を検討するとともに,試作装置が洗濯実験へ適用可能なことを実証した。 (2)所は,各種界面活性剤の定量を,ヨウ素-デンプン試薬を用いて検討した。測定装置として自作簡易比色計を用い,ヨウ素一デンプン試薬の吸光度(光源として発光ダイオード,波長660nm)と界面活性剤濃度の関係を調べて,界面活性剤の濃度測定への適用性を検討した。 (3)日景は,6月から10月末までの桜の葉を採取して染色を行い,その染色性は採取時期に影響されず,葉の冷凍保存により,一年をとおして利用可能となることを見出した。 (4)小川は,被服管理領域に関する実験教材の情報を収集してデータベース化し,ビジュアル化した実験情報とともにインターネット公開した。 (5)大矢は,HTTP学習システムに商品テスト情報ページを追加し,ユーザーからの意見を収集して,教育利用のための改良点を明らかにした。
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