1998 Fiscal Year Annual Research Report
波長可変半導体レーザーを用いた共鳴アブレーションによる中性子線量評価法の開発
Project/Area Number |
09308014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井口 哲夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60134483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原林 順 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80283414)
長谷川 修一 東京大学, 工学系研究科, 講師 (90262047)
高橋 浩之 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (70216753)
瓜谷 章 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10213521)
榎田 洋一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40168795)
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Keywords | 共鳴イオン化 / レーザーアブレーション / 同位体分析 / 波長可変半導体レーザー / 核変換生成物 / 中性子線量評価 |
Research Abstract |
本研究は、波長可変半導体レーザーとレーザー共鳴アブレーション(BLA)現象を用いて、工学的応用に適した共鳴イオン化質量分析システムを開発し、その有力な原子力分野への応用として、新しい中性子線量評価法の確立を目指すものである。 昨年度、波長可変半導体レーザーとレーザーアブレーション用Nd:YAGレーザー及び四重極質量分析系からなる基礎実験システムの設計・製作を行ったのに引き続き、今年度、基準実験用として、波長可変色素レーザーを組み込んだ。この実験システムについて、Cu試料を対象に、レーザー光学系及び真空チェンバー中のイオン引き抜き電場等の最適調整を行い、レーザー共鳴アブレーションによるイオン収率のレーザー波長・出力依存性などの基本性能を検証した。既設実験システム(東大・工・原子力工学研究施設:波長可変色素レーザーと飛行時間型質量分析系を使用)で得られた実験結果と比較検討したところ、質量分析系の感度の違いを除いて、整合性のあることを確認した。 また、昨年度考案したRLA現象の理論モデルの精密化を試み、イオン収率のレーザー出力依存性に関して、レーザーパルス初期に生成される試料蒸気の圧力による試料表面での沸点上昇効果やレーザーで局所的に生成された高イオン密度による空間電荷効果を考慮することで、本実験結果のみならず、他の文献で報告されている結果をも良く説明できることが分かった。その結果、RLAを用いた微量元素分析では、S/N比と検出感度の両立という観点から、入射レーザーの出力密度に最適範囲があり、Cu試料では、〜3×10^<13>W/m^2程度に設定するのがよいとの結論を得た。 なお、次年度は、市販の四重極質量分析系では、検出感度が十分でないことが判明したので、イオン検出部とイオン引き抜き電極の改良により、実験システムの高感度化を図るとともに、まだ成功していない波長可変半導体レーザーからの第2高調波発生の技術開発に重点を置いて、本研究を進める予定である。
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