1998 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア電子伝達系による水素イオン能動輸送機構の立体構造にもとづく研究
Project/Area Number |
09308026
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 信也 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40068119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 宏明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (00272162)
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / 膜タンパク質 / 生体エネルギー変換 / 電子伝達 / 結晶化 / 酸化還元滴定 |
Research Abstract |
1) 結晶凍結法の検討。本年は酸化型結晶の凍結条件をさらに検討した。結晶を劣化させることなく凍結するためには不凍剤を添加することが不可欠である。そこで本年度は不凍剤の種類と濃度及び処理法について詳細に検討した。不凍剤存在下での結晶化には成功しなかったので、不凍剤を結晶にしみこませる条件を検討した。その結果、グリセロール濃度を35%まで8〜9段階で段階的に上昇させることによって凍結の際の劣化を相当に防ぐことができるようになった。しかし、同型性が失われることと再現性が不十分であることが大きな問題で、今後さらに検討の必要がある。 2) 2.0A分解能の構造解析。結晶凍結法は上述のように確立することはできなかったが、凍結することによってX線の損福を大きく防ぐことができるので、1個の結晶から、1組のデータを収集することができた。その結果、2.0A分解能でのX線構造を分子置換法によって決定することができた。その結果、常温2.3A分解能で発見できなかった多数のリン脂質や水分子が認められた。これらは、分解能が高められたためというよりは、低温によって、常温でとりうるいくつかの立体構造のうちの最も安定なものに固定されたために明確な電子密度を与えるようになったと考えられる。分子内部にもこのように低温ではじめて認められる、反応機構に重要であると推定される水分子がいくつか発見された。 3) チトクロム酸化酵素の酸化還元滴定。昨年度開発した方法によってチトクロム酸化酵素の酸化還元滴定を種々の条件で行った。その結果、完全酸化型には2種類あって一方は代謝回転して直接関与しているが他方は代謝回転していないときに生じる休止型であること、後者には過酸化物架橋構造が含まれているらしいことが明らかになった。この結果はX線結晶構造解析の結果を支持する。
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