放射光による投影型X線顕微鏡の開発とその医・生物学応用

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09309001
• Research Institution: University of Tokyo
• Principal Investigator: 篠原 邦夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10112088)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉村 英恭 明治大学, 理工学部, 教授 (70281441) ; 伊藤 敦 東海大学, 工学部, 助教授 (80193473) ; 本田 捷夫 千葉大学, 工学部, 教授 (10016503) ; 小池 雅人 日本原子力研究所関西研究所, 光量子科学研究センター, 主任研究員
• Keywords: 軟X線顕微鏡 / 投影型 / 放射光 / ゾーンプレート / テストパターン / 染色体 / 可干渉性 / 分解能

Research Abstract

物質構造科学研究所放射光研究施設にて、昨年度までよりも強度の高いBL-11Aを利用して、装置の高分解能化、分解能の検定、メッシュおよび染色体の観察を行った。光学系は昨年度までと同様で、分光した放射光をゾーンプレートで集光した点光源による試料の投影拡大を行い、CCDカメラで記録した。本年度は、ゾーンプレートの上流側にピンホールを入れた場合の検討も行った。
1.装置の高分解能化
光源の可干渉性を高めるために、集光用ゾーンプレートの上流、分光器後の集光点にピンホール(プレピンホール)の設置を試み、10μmのプレピンホールを光軸上にアラインメントできた。下流のピンホールは前年度達成した最小サイズの1μmである。波長は3.6nmまで試みた。下流のピンホールを走査して求めたゾーンプレートによる集光サイズは4μm以下となり、プレピンホールがない場合の5-20μmより縮小できた。
2.分解能の推定
一定線幅が等間隔に刻まれたテストパターンの観察を行い、2本の線の識別によって分解能を推定した。ゾーンプレート後のピンホール1μmの場合、0.5μmの分解能を記録したが、この結果は、前年度メッシュのエッジ像の立ち上がりから推定した結果とほぼ一致した。一方ゾーンプレートの上流にプレピンホール10μmを挿入した場合には、分解能は0.2-0.3μmに向上した。
3.メッシュおよび染色体の観察
メッシュ画像は、プレピンホールを用いた場合、エッジ近傍にフレネルフリンジがはっきりと観察された。この結果はゾーンプレートで集光した光源の空間コヒーレンスが向上したためと推定された。染色体に関しては、ピンホール1μmを用いて観察を行い、細かい構造の観察を確認した。さらにプレピンホールを挿入して観察を試みたが、十分なコントラストが得られず、光源強度不足、試料調製法の問題などが検討課題として残された。

Research Products

• [Publications] Kunio Shinohara: "Development of an X-ray projection microscope using synchrotron radiation"In "X-Ray Microscopy", (edited by W.Meyer-Ilse, T.Warwick and D.Attwood), American Institute of Physics. 346-349 (2000)
• [Publications] Atsushi Ito: "XANES of mammalian cells in the soft X-ray region for the basis of X-ray imaging"In "X-Ray Microscopy", (edited by W.Meyer-Ilse, T.Warwick and D.Attwood), American Institute of Physics. 145-148 (2000)
• [Publications] Atsushi Ito: "The use of absorption difference at distant wavelengths for imaging elements in mammalian cells"In "X-Ray Microscopy", (edited by W.Meyer-Ilse, T.Warwick and D.Attwood), American Institute of Physics. 149-152 (2000)
• [Publications] Hideyuki Yoshimura: "Contrast enhancement and three-dimensional computed tomography in projection X-ray microscopy"In "X-Ray Microscopy", (edited by W.Meyer-Ilse, T.Warwick and D.Attwood), American Institute of Physics. 525-528 (2000)
• [Publications] Atsushi Ito: "Evaluation of spatial resolution in soft X-ray projection microscope using synchrotron radiation and Fresnel zone plate"Photon Factory Activity Report 1999. 17,part B. 286-286 (2000)