1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09356010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 裕司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 建樹 帝国臓器(株), 研究本部天然物研究部, 主任研究員
額田 恭郎 理化学研究所, 細胞制御化学研究室, 専任研究員
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
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Keywords | ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン(eCG) / 卵胞刺激ホルモン(FSH) / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン(eCG)は、強力な卵胞刺激ホルモン(FSH)様の活性、すなわち卵胞発育促進活性を示すことが知られており、妊娠馬の血液由来の抽出製剤が家畜の卵胞発育促進剤として広く用いられてきた。ところが、抽出eCG製剤は、原料ロットにより、活性比率や排卵誘起活性が異なることが知られていた。さらに、不特定多数の妊娠馬の血液を利用するために、様々な感染症の伝搬媒体となる可能性も懸念されるなど、様々な問題が提起されていた。そのため、遺伝子組換え技術による、品質の安定した安全な製剤の開発が望まれてきた。ところが、eCGはα鎖とβ鎖からなるヘテロダイマーであること、さらに、両鎖に糖鎖が付加されており、しかも生理活性が糖鎖に大きく依存しているなど、理論的・技術的に克服しなければならない問題が多く存在している。前年度の研究により、糖鎖付加のほとんどないeCG変異体でもFSH様活性が見られることを明らかにしていたが、本年度は、eCGのβ鎖とα鎖を融合タンパクとして発現するような組換え体を作出し、このβα融合タンパクもFSH様活性を有することを明らかにした。これらの結果より、βα融合型eCGタンパクを糖鎖付加の起こらない大腸菌で発現させ大量調整する方法が有効であることが示唆された。そこで、βα融合型組換え体を大腸菌で発現させ、効率よく回収する系を確立し、組換えタンパクを精製した。今後、本法で調整した組換えタンパクの生理活性をより精密に評価する目的で、FSHおよびLHに対する受容体をそれぞれ単独で発現するよう遺伝的に操作した培養細胞株を樹立した。以上の研究に加え、糖鎖修飾が、ホルモンやサイトカイン等の生理活性の発現において果たす一般的役割を知る目的で、白血病阻止因子(LIF)および胎盤性ラクトジェン(PL)-IのN型糖鎖修飾部位に着目した解析を行った。
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[Publications] N.Hattori et al.: "Evaluation of the role of N-linked oligosaccharides in rat placental lactogen action by site-directed mutagenesis." Endocrine Journal. 45 (5). 659-674 (1998)
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[Publications] K.Sasai et al.: "Functions of the N-glycans of rat leukemia inhibitory factor expressed in Chinese hamster ovary cells." J Biochem (Tokyo). 124 (5). 999-1003 (1998)
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[Publications] M.Hirosawa-Takamori et al.: "Characterization of rat mid-pregnancy-specific placental lactogen produced by baculovirus/insect cell expression system." Journal of Reproduction and Development. 45. 43-50 (1999)