1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09357002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
榎並 正芳 金沢大学, 医学部, 助教授 (30168794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉仲 由之 大塚製薬株式会社, 微生物研究所, 主任研究員
黒田 和道 大阪薬科大学, 薬学部, 助教授 (50215109)
加藤 篤 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40152699)
伊藤 康彦 三重大学, 医学部, 教授 (00022872)
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Keywords | ウイルスベクター / インフルエンザウイルス / パラインフルエンザウイルス / センダイウイルス / 遺伝子治療 / ワクチン / 遺伝子操作 |
Research Abstract |
1)ヘルパーウイルスを必要としない、即ち特別な選別の過程を必要としない新しいインフルエンザウイルスの遺伝子操作技術を開発した。これを用いてNS1蛋白に変異を持つ遺伝子組換えウイルスdl12とN110を作成した。dl12はN端付近の12残基を欠失するが、温度感受性となり、39℃で感染後期にすべてのウイルス蛋白の翻訳が特異的に阻害された。N110は、C端側52%を欠失するが、すべての温度で後期蛋白の翻訳だけが特異的に阻害された。次にこれを用いて優れたインフルエンザウイルスベクター系を作製した。N110変異NS1のC端側に自己切断活性を持つ2Aプロテアーゼ配列を介在配列として、CATレポーター遺伝子を挿入したインフルエンザウイルスを作製した。CAT遺伝子は経代を繰り返しても安定に高いレベルで発現され、発現蛋白は合成直後に速やかに自己切断され成熟型蛋白となった。(榎並) 2)これら親株と変異株をマウスに感染し病原性と免役原性を解析したところ、dl12は強く弱毒化され、また親株の再感染実験では強い感染防御効果が見られ、弱毒ワクチンとしての応用が期待された。(黒田、吉仲) 3)ヒトパラインフルエンザの遺伝子組換え実験系を確立するため、ウイルス全遺伝子をcDNAとして組み込み発現するプラスミドを作製し、DNAトランスフェクションによるウイルスの回収と条件の検討を行った。(伊藤) 4)センダイウイルスベクター系の改良と実用化研究を行った。N遺伝子上流に外来遺伝子を挿入すると高い遺伝子発現が見られ、V遺伝子を削除するとウイルスの病原性が減少し、その結果発現レベルが上昇した。フェニルケトン尿症の遺伝子治療を目指したフェニルアラニンハイドロキシラーゼ遺伝子を導入した。新型インフルエンザに対するワクチン開発を目指してインフルエンザH5-HA遺伝子を導入した。(加藤)
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[Publications] 榎並正芳: "インフルエンザウイルスNS1,NS2蛋白の構造;機能と発現制御" 日本臨床. 55. 2605-2609 (1997)
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[Publications] 榎並正芳: "インフルエンザウイルスの分子生物学、-ウイルス工学と細胞生物学の接点" 実験医学. 15. 2356-2361 (1997)
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[Publications] 榎並正芳: "第2版微生物学実習提要(東京大学医科学研究所学友会編)14、2、8 インフルエンザウイルスベクター" 丸善(株)(印刷中), (1998)