1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞及び生体タンパク分子の力学的性質測定装置の開発
Project/Area Number |
09358020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 紘三郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90026196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 浩 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (00263228)
藤江 裕道 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (20199300)
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Keywords | バイオメカニクス / 細胞 / コラーゲン線維 / 引張試験 / スティフネス |
Research Abstract |
細胞や微細生体線維の力学的性質を調べるための引張試験システムを開発するとともに、世界で始めて、線維芽細胞、平滑筋細胞、及びコラーゲン線維の正確な引張試験に成功した。 1)引張試験システム:防振台上の倒立顕微鏡を中央に、マイクロマニピュレータ、リニアアクチュエータ、ロードセル、ビデオ寸法計測装置(VDA)、恒温槽等から構成される引張試験システムを設計した。先端部を細胞接着剤で被覆した一対の屈曲マイクロピペットを用いて試料を把持する。一方のマイクロピペットをアクチュエータに連結し、これを駆動して試料に引張荷重を作用させ、他方のマイクロピペットをロードセルに取り付けて荷重を計測する。ロードセルには、カンチレバーのたわみをレーザ変位計で計測する方式(細胞用)と、半導体ひずみゲージを貼付したカンチレバーを用いる方式(線維用)を採用(ともに計測精度±0.05μN)している。また、顕微鏡を通してCCDカメラで撮像したマイクロピペットの先端間隔をVDAで測定して伸び(計測分解能約0.24μm)を求める。試料は37℃の液中にに維持するようになっている。 2)線維芽細胞の引張試験:家兎膝蓋腱から採取し、培養した線維芽細胞(無負荷時直径約21μm)を使用し、3μm/secの速度で引張試験を行った。スティフネス、破断荷重、破断伸びはそれぞれ約0.02N/m、0.9μN、86μmであり、引張試験中の細胞の形態は局所的に不一様であった。 3)平滑筋細胞の引張試験:家兎大動脈由来の培養平滑筋細胞のスティフネスは、合成型(無負荷時直径約32μm)では約0・09N/m、収縮型(同約31μm)では約0.17N/mが得られ、線維芽細胞より高値であった。 4)コラーゲン線維:家兎膝蓋腱から採取した直径約1μmの線維の接線係数、引張強度、破断ひずみはそれぞれ、約54MPa、8.5MPa、22%であり、直径約300μmの線維束や、もとの腱よりはるかに低い値であった。
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[Publications] H. Miyazaki, K. Hayashi 他1名: "Tensile properties of fibroblasts from the rabbit pateller tendon"Proc. 1999 Bioengineering Coference. BED-42. 345-346 (1999)
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[Publications] 宮崎浩,竹内誠亮,林紘三郎: "約1μm直径のコラーゲン線維の引張試験"日本機械学会1999年度年次大会講演論文集. Vol.II. 317-318 (1999)
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[Publications] 長谷川佳孝,宮崎浩,林紘三郎: "血管平活筋細胞の引張特性"日本機械学会第12回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 57-58 (2000)
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[Publications] H. Miyazaki, K. Hasyshi 他1名: "A newly desigred tensile tester for cells and its application to fibroblasts"Journal of Biomechanics. 33・1. 97-104 (2000)
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[Publications] H. Miyazaki, K. Hasyshi: "Tensile tests of collagen fibers obtained from the rabbit potellar tendon"Biomedical Microderices. 2-2. 151-158 (2000)