2000 Fiscal Year Annual Research Report
DNAテクノロジ-による古代社会の復元システムの開発
Project/Area Number |
09359002
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20143357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 成也 国立遺伝学研究所, 助教授 (30192587)
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Keywords | 古代社会 / DNA / 人類集団 / 多様性 |
Research Abstract |
多様な遺跡情報を遺跡から出土した古人骨それぞれのDNA情報と統合し,古代社会を復元していくための解析システムを開発することを目的として,以下の解析を進めた。 昨年度までにベーシックタイプの解析システムの開発を終え,本年度は実際の分析データを用いてその有用性を検討した。材料は本研究課題で得た,中国・黄河下流に位置し,春秋戦国時代の斉の都があったLinziにおける,約2500年前の春秋時代の人類集団,約2000年前の漢代の人類集団,そして現代漢民族集団,のミトコンドリアDNAのDループ領域の塩基配列情報である。この一次情報の重要性は,同じ場所の異なる3つの時代の人類集団についての情報であるという点であり,中国古代人類集団の遺伝的多様性という「点のレベルでの分析」だけではなく,中国古代人類集団の遺伝的多様性の時代的変遷という時間軸を加えた「面のレベルでの分析」がおこなえたことである。 その結果,2500年前から2000年前の500年間に中国・黄河下流域の人類集団の遺伝的構成に大きな変化があったことが示された。また,近隣結合法による系統樹作成ならびに多次元尺度法による解析から,2500年前の春秋時代の人類集団が現代ヨーロッパ人類集団とクラスターを形成すること,すなわち,現代ヨーロッパ人類集団や現代トルコ人集団と遺伝的に近縁な人類集団が,今から2500年前にはユーラシア大陸の東端に存在していたことが明らかとなった。 これらの結果は,現代人類集団を用いた分析からは決して得ることが出来ない画期的な成果であり,本展開研究によって初めて可能となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Wang L.: "Genetic structure of a 2500-year-old human population in China and its spatiotemporal changes"Mol.Brol.Evol.. 17・9. 1396-1400 (2000)
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[Publications] Oota H.: "Genetic study of the Paleolithic and Neolithic Southeast Asians"Haman Biol.. (in press). (2000)
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[Publications] 植田信太郎: "現生人類の拡散を化石DNAから探る"蛋白質・核酸・酵素. 45・16. 2572-2578 (2000)