1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体適合性にすぐれた超弾性合金の開発と歯科精密鋳造の研究
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09359003
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浜中 人十 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (10013955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 郁夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (40242268)
土居 寿 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30251549)
米山 隆之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00220773)
浅井 真人 古河電気工業(株), 横浜研究所, 主任研究員
鈴木 雄一 古河電気工業(株), 横浜研究所, 所長
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Keywords | チタンニッケル合金 / 力学的性質 / 耐食性 / 歯科鋳造 |
Research Abstract |
形状記憶効果を示す合金のうちで、もっとも機能性に優れているのはTi-Ni合金である。昨年度は、Niの一部をPdで置き換えた場合について検討した。今年度は、Niの一部をCu、Au、Cr、Moで置換した合金について検討した。合金は目的とする組成に秤量した後、水冷銅ハース上でアーク溶解して合金を作製した。これをチタン合金用鋳造機により、各種合金元素および組成につき、それぞれの目的の試料に鋳造した。鋳造したままおよび熱処理した場合につき各種の試験を行なった。Niの一部をCuで置換した場合、Cuの割合が増えるにしたがって見掛けの降伏点が下がり、除荷したときの残留ひずみが少なくなる。体温で超弾性が利用できる組成として、NiをCuで10%(組成はすべてmass%)置換した合金が有効であることがわかった。また、2元系の場合には形状記憶効果しか得られないようなTiの組成においても、Cuを添加することによって超弾性が得られる。37℃の1%乳酸中での溶出試験の結果、2元系より溶出量が減少した。Niの一部をAuで置換した場合、Auの組成が増すに従って変態点が低下し、次第に変態温度が不明瞭になってくる。Auの組成が7%まではDSC曲線から変態温度を求めることができた。生体用として超弾性特性あるいは形状記憶効果が発揮できるためには、49.4%Ti-Ni-4%Au合金と、49.6%Ti-Ni-7%Au合金が体温で優れた超弾性特性を示すことがわかった。また,Niの一部を10%Cuで置換した合金にMoあるいはCrを添加した場合は、これらの元素は1.0%以上添加すると脆くなるため、良好な力学的特性を発揮させるには0.5%程度が限界であると思われる。 より生体融和性のあるTi-Ni系合金開発を目指しているが、超弾性特性や形状記憶効果などの重要な性質を失うことなく、イオンの溶出量を減少させることが可能であることがわかり、貴重な成果を挙げている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 米山隆之,浜中人士,他: "矯正用チタンニッケル合金角型ワイヤーのトルク特性における超弾性と相変態挙動"歯科材料・器械. 18・6. 463-471 (1999)
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[Publications] T.Yoneyama, H. Hamanaka, etc.: "Super-elastic property of Ti-Ni alloy for use in dentistry"Frontiers of Medical and Biological Engineering. 10・1(印刷中).
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[Publications] Y.Soga, H. Hamanaka, etc.: "Tensile properties and transformation temperatures of Pd added Ti-Ni alloy dental castings"Journal of Metarials Science: Materials in Medicine. 11・1. 1-6 (2000)
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[Publications] T.Yoneyama, H. Hamanaka, etc.: "SEM Observation on the surface of titanium miniplates retrieved from patients after maxillofacial surgical treatment"生体材料工学研究所報告. 33(印刷中).
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[Publications] T.Yoneyama, H. Hamanaka, etc.: "Stress transmission through Ti-Ni alloy, titanium and stainless steel in impact compression test"Journal of Metarials Science:Materials in Medicine. (印刷中).
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[Publications] 浜中人士: "生体用金属材料および生体反応の基礎 生体用金属材料概説"「生体用金属材料からの金属イオン溶出機構と人体への影響」研究会. (1999)
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[Publications] 浜中人士: "チタンの医療・福祉への応用-チタン及びチタン合金の歯科への応用-"日本チタン協会. (1999)