1999 Fiscal Year Annual Research Report
知識と技術をめぐる概念的研究-基礎的哲学研究と現代的課題との架橋
Project/Area Number |
09410004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一ノ瀬 正樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20232407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 守 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
天野 正幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40107173)
松永 澄夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30097282)
下野 正俊 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (70262053)
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Keywords | 知識 / 技術 / 所有 / 人格 / 歴史哲学 / プラトン / 力 / 判断力 |
Research Abstract |
本研究の開始にあたり既に明記したように、我々は知識と技術をめぐる三つの範型、すなわち、1技術先行型、2知識先行型3知識技術融合型について、その概念的研究を目的とした。今年度は、本研究の最終年度にあたり、我々はこれまでの研究を総括し、その成果を、各人がそれぞれの専攻分野との関連において、哲学史的に位置づけた。また同時に、今後のさらなる研究の進展を企図し、その基礎を形成することにも意を用いた。 ーノ瀬正樹は、上記三範型の内、とりわけ第三のものに研究の主力を注ぎ、近世社会哲学において確立した「所有」概念についての考察を基軸に、知識・技術を潜勢的に「所有」し、瞬間ごとにそれを現実化するものとしての「人格」が持つ存在論的構造を明らかにした。松永澄夫は、技術的知識が前提とする諸性格を体系的に整理・解明するという課題を、社会哲学、とりわけ現代歴史哲学の方法論を批判的に吟味することにより、達成した。天野正幸は、古代哲学における技術概念について、プラトン対話編の詳細な検討、なかんずくその倫理思想の展開を扱うことにより、行為主体としての人間存在の諸相を論じることで、明らかにした。高山守は、ヘーゲル「精神現象学」の読解を通じて、「技術」概念が持つ契機の内、「力」が近現代哲学において因果性概念と結びつき、その結果、技術が因果性の文脈において理解されるにいたる経緯を論じた。このことにより、「神話」的因果性が近代社会においても人間の技術理解を規定していることが示された。下野正俊は、公共性と「判断力」についての歴史的研究をさらに深化し、近世攻治思想と判断力との間の関係論じるという課題を、政治的判断力をめぐる一連の議論の理論的基礎を整理することで、達成した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 一ノ瀬正樹: "音楽化された認識論に向けてTowards Epistemology Musicalized"感覚[世界の境界線]. 165-199 (1999)
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[Publications] 一ノ瀬正樹: "Home and Three Concepts of Cause"東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室「論集」. 18. 19-39 (2000)
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[Publications] 松永澄夫: "人の社会の秩序をつくるもの(-)"東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室「論集」. 18. 1-39 (2000)
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[Publications] 天野正幸: "相対主義は克服できるか-プラトン的観点から-"哲学雑誌. 114巻786号. 1-18 (1999)
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[Publications] 高山守: "ヘーゲル『精神現象学』「III力と悟性」章をめぐって"東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室「論集」. 18. 40-59 (2000)
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[Publications] 下野正俊: "「超越論的分析論」における判断力の意義"現代カント研究7 超越論的批判の理論. 82-103 (1999)