1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09410007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒積 俊夫 名古屋大学, 文学部, 教授 (60038479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 文学部, 助教授 (00192542)
田村 均 名古屋大学, 文学部, 教授 (40188438)
山田 弘明 名古屋大学, 文学部, 教授 (40106258)
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Keywords | プラトン / デカルト / マルブランシュ / ボイル / ロック / カント / イデア / 観念 |
Research Abstract |
1先験的観念論に基づくカント理論哲学(先験哲学)の研究をさらに推し進め、カントの理論哲学は内在論(経験内在論)であり、それ以外、すなわちカント以前および以後の全哲学は超越論(経験超越論)であるとの認識に到達。その間の経緯を論文「内在論としてのカント先験哲学」にまとめた。ほぼ同趣旨の(独文)論文を今夏米国で開催予定の第20回世界哲学会議・近代哲学セッションで発表することになっている。(黒積俊夫) 2デカルトとマルブランシュにおける「観念(idea)」という語の使用法を比較し、この用語は当時の神学理論と密接に関連していること、「観念」は、デカルトにおいては人間知性のもつ表象であるのに対して、マルブランシュの場合は、神の意識内容を指示していること、そしてかれらの哲学の本質的相違がこの違いに由来すること、などを明らかにした。来年度はこの成果をもとにパスカルへと研究を進める予定である。(山田弘明) 3ロバート・ボイルの科学方法論とジョン・ロックの認識論・存在論をデカルト哲学の枠組みと対比して考察、「デカルトとイギリス経験論」(『デカルト読本』法政大学出版局1998刊行予定)にまとめた。今後これを承けて、今後はideaという哲学的装置によって、対象と心的内容との間に、因果的結合と表現的(志向的)結合という〈反対向きの二重の結合〉が設定される、という点に着目して研究を進める予定である。(田村均) 4プラトン『パイドン』の「第二の航海」におけるイデア仮説を検討、目下、善に関するソクラテスの思考が、プラトンにおいてイデア論仮説に通じるに至った経緯について論文を執筆中。またヘレニズム哲学、とくにストア派において、プラトンが真実性(イデア)とみなした普遍が、観念、思考の想念にすぎないものとなった過程についても研究を行った。(金山弥平)
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 黒積俊夫: "内在論としてのカント先験哲学" 名古屋大学文学部研究論集. 132(哲学44)(印刷中). (1998)
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[Publications] 黒積俊夫: "「心身問題」をめぐって" 名古屋大学哲学論集. 第4号. 1-14 (1998)
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[Publications] 山田弘明: "コギト・観念・真理-マルブランシュとデカルト-" 名古屋大学文学部研究論集. 132(哲学44)(印刷中). (1998)
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[Publications] 田村均: "The Modern Concept of Man and Hume on Personal Identity" The Papers for the 24th Hume Conference:at Monterey,California. 39-43 (1997)
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[Publications] 田村均: "感覚する個人-センス・データ論批判と自然主義-" 分析哲学の現在(藤本隆志、伊藤邦武.編著、世界思想社). 59-92 (1997)
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[Publications] 田村均: "哲学的認識論はいつから科学オンチになったのか?" 科学哲学. 第30号. 29-42 (1997)
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[Publications] 田村均: "デカルトとイギリス経験論" デカルト読本(湯川佳一郎、小林道夫編著、法政大学出版局). (印刷中). (1997)
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[Publications] 金山弥平: "無知の自覚-ソクラテスの倫理と宗教-" 中部哲学会年報. 第30号. 105-120 (1998)
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[Publications] 金山弥平: "セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義・哲学の概要』(共訳)" 京都大学学術出版会, 457+25(計482) (1998)