1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09410007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒積 俊夫 名古屋大学, 文学部, 教授 (60038479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 文学部, 助教授 (00192542)
田村 均 名古屋大学, 文学部, 教授 (40188438)
山田 弘明 名古屋大学, 文学部, 教授 (40106258)
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Keywords | カント / 内在論 / パスカル / 真理 / 科学 / 自然主義 / プラトン / イデア |
Research Abstract |
1 カント理論哲学(先験哲学)の立場は内在論(経験内在論)であって、その点でカント以前および以後の超越論(経験超越論)とは異なるという立場から、研究を進め、その成果を論文にまとめるとともに、1998年8月10日から16日まで米国ボストンで開催された第20回世界哲学会議において‘Kants Transzendentalphilosophie alsdie immanente´を発表した。(黒積俊夫) 2 パスカルにおけるアイデアリズムを問題とした。デカルトの形而上学との比較の下に、観念、真理、確実性、心情、愛、神など、パスカル認識論の諸論点をとり上げた。メナール版による新テキストにより、最新の研究を踏まえて問題を分析・吟味した。その結果、パスカルのアイデアリズムの背景には確たる宗教的世界があることが確認された。(山田弘明) 3 17世紀後半のイングランドの科学思想を、主観-客観図式の踏襲ないし批判にすぎない近代の哲学的認識論の定型とはまったく違う方向を目指したものとして捉えなおした。自我中心主義的に解釈されたデカルトにならって意識の志向性(観念の表現性)から知識の成立を分析する従来の立場では、科学的知識の成り立ちはほとんど説明することができず、科学を理解するためには認識論の自然化と社会化が不可欠である。今後この観点から、ジョン・ロックの自然主義の存在論を検討する予定である。(田村 均) 4 プラトン『パイドン』のイデア論を中心に研究を展開、イデア原因論がまさにロゴス(思考、理性)の立場に立つとき、必然性をもって受け入れざるをえない仮設であること、またロゴスの立場に立って感覚を排除するとき、イデア分有原因論はプラトンが確実視するものではなく、従って究極的にはプラトンが認めるところではないこと、しかしなおそれを提示したことには理由があることを確認した。(金山弥平)
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 黒積俊夫: "超越論から内在論へ-真のカント理解のために-" 西日本哲学年報. 第6号. 29-40 (1998)
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[Publications] 黒積俊夫: "ヘーゲルの経験理論とその挫折-『意識経験学』から『精神現象学』へ-" 名古屋大学文学部研究論集. 135(哲学45)(印刷中). (1999)
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[Publications] 山田弘明: "パスカルとデカルト" 名古屋大学文学部研究論集. 135(哲学45)(印刷中). (1999)
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[Publications] 田村 均: "デカルトとイギリス経験論" デカルト読本(法政大学出版局). 192-201 (1998)
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[Publications] 田村 均: "事故犠牲をめぐる三つの物語-エウリピデス、ティム・オブライエン、宮沢賢治-" 名古屋大学文学部研究論集. 135(哲学45). 37-71 (1999)
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[Publications] 金山弥平: "プラトン自然学の始まり(上)-『パイドン』の内にアリストテレスが見たものと見過したもの-" 名古屋大学文学部研究論集. 135(哲学45). 73-88 (1999)
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[Publications] 田村均 他3名: "科学を考える" 北大路書房, 395 (1999)