1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09410015
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
船木 亨 熊本大学, 文学部, 助教授 (30190119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城 達也 熊本大学, 文学部, 講師 (70271608)
寺岡 伸悟 熊本大学, 文学部, 講師 (90261239)
池田 光穂 熊本大学, 文学部, 助教授 (40211718)
大杉 佳弘 熊本大学, 文学部, 助教授 (80203777)
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Keywords | メディア / 倫理 / 権力 / コミュニケーション / 電子 / 知識人 / 公共性 / 規範 |
Research Abstract |
本研究は、ネットワーク上における公共性概念の批判的検討、高度メディア化が現代の主体形成に関わる具体的様相、高度メディア化が要求する倫理的構成的諸規範の解明を目的とする。本年度は、実験(体験)をかねて研究協力者が相互に利用するサーバを立上げ、それによって意見交換をしつつ調査を行い、研究会を重ねた。そして、それぞれの専門分野からすると高度メディアがどのような位置づけになるかを探究して報告書に纏めたが、そこではメディア概念、高度化の意味、そのなかでの人間や組織や地域や体制の捉え方を論じている。船木は、ネットワーク導入に際して生じる諸問題の組織的解決を紹介し、そこに収まりきれない倫理的問題の諸相を、技術に関する言説を描きだした。池田は、メディア論の流れを概括し、それを文化人類学の概念枠や方法論の変化と照らしあわせて、メディアと人間の新しい構図を考察した。寺岡は、日影町におけるメディアの変遷を調査し、そこにおける人間の諸経験を解明することを通じて、地域社会における高度メディア化の前段階を明らかにした。城は、大衆社会状況における知識人のメディアに対する観点を、権力との連関から批判的に検討し、インターネットを知識人的言説から切離して理解する必要性を説いた。大杉は、思考とコミュニケーションと情報処理におけるメディア体制の変容が認識的規範とどう関わるかを明らかにするために、電子メディア以前の二つの節目、文字と印刷について考察した。以上、現在の時点ではまだ各自個性的なアプローチであるが、組織や地域のなかでのメディア、メディアの意義、権力とメディアの関連、メディアの歴史、高度メディアの社会的位置づけ等において、それぞれの研究を呼応させることができた。今後は、来年度に向けてさらに討議や調査を重ね、高度メディアの本質を暴露しつつ、現代社会の倫理的および構成的諸規範を解明するといった方向を目指したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 船木 亨: "非組織型ネットワークにおける倫理学的問題のありか" 高度メディア社会における社会倫理の実証的研究(I). 1-18 (1998)
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[Publications] 池田 光穂: "メディアは我々自身を形作る" 高度メディア社会における社会倫理の実証的研究(I). 19-30 (1998)
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[Publications] 寺岡 伸悟: "情報通信の地域社会史" 高度メディア社会における社会倫理の実証的研究(I). 31-44 (1998)
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[Publications] 城 達也: "倫理形成と文化闘争のあいだ" 高度メディア社会における社会倫理の実証的研究(I). 45-64 (1998)
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[Publications] 大杉 佳弘: "認識的規範へのメディアの関連性についての考察" 高度メディア社会における社会倫理の実証的研究(I). 65-72 (1998)
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[Publications] 船木 亨: "ランド・オブ・フィクション" 木鐸社, 215 (1998)