1997 Fiscal Year Annual Research Report
外から見た沖縄の音文化-内外の視点を交叉させる比較文化-
Project/Area Number |
09410018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 修 大阪大学, 文学部, 教授 (20061583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 家駿 大阪大学, 文学部, 助手 (60283701)
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Keywords | 沖縄の音 / 沖縄音楽 / ウチナ-ポップス / 日本本土の芸能 / 福建音楽 / ベトナム音楽 / 身体打奏 / 打音 |
Research Abstract |
初年度の本研究は、理論的な枠組、調査方法、データ整備・保管・分析等の基礎的な検討と実践をおこなうために、設備備品の整備(システム化)およびその活用に重点を置き、それらの内容の妥当性を確認・補強・是正すべく、国内外の研究者・研究機関との連絡体制の強化をはかった。とりわけ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で受けたレビューは、具体的なデータ整備方針の確定に役立ち、日本の研究蓄積(たとえば漢字記号論により東アジア音楽を象徴体系としてとらえる考え方)を相手に知らせることにもなった。研究の骨格としては、沖縄や周辺文化の音楽に関する未公刊資料を収集すべく、国内の要所にあたると同時に、新たな視点から大局的にとらえるために、独自の調査を沖縄・九州本土・山陰地方で実施した。 沖縄の音文化の基本として想定される「打者と弦音のさまざま」は、沖縄の鄙びた地域でのサウンドスケープ(音風景)はもとより、都会的なウチナ-ポップスにいたるまで、一貫して見てとることができる。その根底にあるリズム感は、ベトナム、中国南部、韓国などに類似例を見る一方で、やや異なるものが九州本土、山陰地方、ミクロネシアに跡づけられる。たとえば、ベトナムとラオスのコイン・クラッパーは、沖縄の三板や中国南部の同類打楽器と起源を同一にすると推察できるほどの類似性を見せる一方で、日本本土やミクロネシアで有効に使われる身体打奏は沖縄で観察される例とはやや異なっているのである。ただし、南アジア以西の全く異なる諸文化の現象的表面的類似例とくらべれば、東アジアから東南アジアにかけて感じられる均質性は際だっていると作業仮説をたてているのが現段階である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] YAMAGUTI Osamu: ""Needs for documenting body movements and sounds in expressive performance of traditional Asian cultures"" National Workshop on the Documentation and Promotion of the Intangible Cultural Heritage in Lao". 30-32 (1997)
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[Publications] YAMAGUTI Osamu: ""Collecting data through human relations : DIPA (Documentation Items of Performing Arts) and its applications in broad perspectives"" National Workshop on the Documentation and Promotion of the Intangible Cultural Heritage in Lao". 33-37 (1997)
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[Publications] YAMAGUTI Osamu: ""Transcontextualisation and stylistic changes of the East Asian court music"" The 2nd International Conference on Asian Music (Seoul : NCKTPA). 131-156 (1997)
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[Publications] 山口修: "「外から見た沖縄の音」" 『民族藝術』. 第13号. 91-94 (1997)
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[Publications] YAMAGUTI Osamu: ""Voices in/from/to Japan : present and future activities for the preservation and promotion of traditional/folk performing arts"" 1998 Regional Seminar for Cultural Personnel in Asia and the Pacific (Tokyo : ACCU). (印刷中). (1998)
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[Publications] 朱家駿: "「音楽の『器』考-漢字文化記号論的視座より」" 『民族藝術』. 第14号. 142-147 (1998)