1998 Fiscal Year Annual Research Report
アルゴスシステムを用いたニホンザル雄の集団間移動に関する研究
Project/Area Number |
09410026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 教授 (40030043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大芝 宣昭 大阪大学, 人間科学部, 教務職員 (20283715)
今川 真治 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00211756)
金澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (60183886)
日野林 俊彦 大阪大学, 人間科学部, 教授 (80156611)
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Keywords | ニホンザル / 周辺オス / アルゴスシステム / 周辺化と群れ落ち / 集団間移動 |
Research Abstract |
本研究は、集団から離脱し、群れ落ちしたニホンザルの雄がどこへいってしまうのかを明らかにするための、テレメトリーシステムを利用したニホンザル追跡研究である。研究の対象は、岡山県勝山町神庭の滝付近に生息するニホンザル餌付け自然集団(勝山集団)と、岡山県高梁市に生息するニホンザル餌付け自然集団(臥牛山集団)である。 本年度も昨年度に引き続いて、主として勝山集団において、5〜7歳の若オスを対象とした個体追跡法による観察を行い、個体発見の容易さ、集団内での滞在時間や集団周辺部での活動時間、採食行動、社会関係の調査を行なった。 勝山集団では数年前から、一部の成体メスと未成体を含む分派集団に、周辺部の若い成体オスが入り込み、さらに分派活動を強めている。このような背景の中で、主集団と分派集団がそれぞれ異なる遊動域を持つようになってきた。このような中で分派集団に入り込んだ若い成体オスが、集団内の他個体とどのような社会関係を結び、どのように集団の遊動に関与しているかの把握が必要となってきている。本年度の観察においてはこれらの若オスの動向をある程度把握することができた。これらの若オスの中には、時間の経過に伴ってその動向を確認することがさらに困難になってきたものがおり、集団からの離脱も時間の問題と思われる。次年度においては、これらの個体の動向をより詳細に調査したうえで、発信器の取り付け作業など、研究の次の段階へと進展を図る予定である。 この準備のために、本年度にはアルゴス発信器の発信試験を勝山集団の遊動域周辺で複数回にわたって行い、位置情報データのキャリブレーションを行った。その結果、得られた位置データがかなり精度の高いものであることを確認した。
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[Publications] Nakamichi,M.& K.Asanuma: "Behavioral effects of perches on group-housed adult female Japanese monkeys." Perceptual and Motor Skills. 87. 707-714 (1998)
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[Publications] 南 徹弘: "隔離ザルの行動異常" 霊長類研究. 14. 69-75 (1998)
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[Publications] 大芝宣昭: "ハトと霊長類の系列学習" 心理学研究. 41. 411-422 (1998)
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[Publications] Nakamichi,M.& N.Koyama: "Attractiveness of mothers with newborn infants in wild ring-tailed lemurs(Lemur catta)." American Jornal of Primatology. (in press).
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[Publications] 糸魚川直祐・南徹弘編: "サルとヒトのエソロジー" 培風館, 256 (1998)