1998 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの自発的な学習の社会的側面の解析 -書きことばの自発的習得過程に焦点をあて
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09410038
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 和子 立命館大学, 文学部, 教授 (90091834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 由紀子 華頂短期大学, 講師 (60249365)
柴田 直峰 京都保育福祉専門学校, 講師
桜谷 真理子 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (50288619)
荒木 穂積 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00123480)
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 助教授 (40217328)
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Keywords | 文化的学習 / 継承的学び / 保育環境 / 文字の読み書き / 共生的学び / 仲間関係 / はんこ作文 |
Research Abstract |
本研究は、幼児期における継承的学びが、仲間関係を土台とする共生的学びとどのようにつながりながら始められるのかという視点から、個人における知識の獲得のための学びのもつ社会的側面を明らかにすることを目的にしている。具体的には、保育園における仲間との自発的活動の中で行われている、典型的な継承的学びである書きことば(文字の読み書き)の学習過程と、それを援助する大人のかかわりについて、3年間の縦断データから分析を行う。 初年度は、次の4点から研究が行われた。(1)子どもの生活の文化的背景の記述--観察対象園の保育の方針や子どもをみる保育者の視点を明らかにするための、カリキュラム分析や保育者の子ども評価についてのデータ分析 (2)観察対象児の文字読みや書きことば(絵本など)の興味などの個人データの収集-3月に行われていた3歳児期のデータに加えて、6月に文字の読みとTOPT、3月には2回目の行動評定 (3)縦断観察の対象となる4歳クラス児の絵本の借りだし行動と、その後の自由活動時における友達との交流の中での自発的文字読みの観察 (4)5歳児を対象にしたはんこ作文活動への参加行動の分析--9月に実施した読み書きテストの結果から読みの開始が遅かった子をターゲットにしたはんこ作文活動における仲間との相互作用の分析。本年度は、(1),(2)、(3)を継続してデータを収集している。特に、継続観察の対象となっている子どもたちが、卒園する時期にあたるため、年度末に取り組まれる保育内容の展開と、そこへの参加の仕方に重点をおいている。(4)については、観察対象児の経験の想起や集団内での情報の交流などが作文にどのように反映されるのかに焦点があてられている。 (1)と(4)の一部については成果として発表されている。(2),(3)については、1998年度に2年間の経過をモデルにてらして発表した。来年度は研究のまとめをおこなうことが大きな目標である。2年半にわたるデータを総合的に分析しながら、対象としている38人の子どもたちが保育園という文化的環境の中でどう育っていくのかの全体像を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 高木和子 他: "就学前保育園児の読み書き行動の分析1" 日本教育心理学会第40回総合発表論文集. (1998)
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[Publications] 小森伸子 他: "就学前保育園児の読み書き行動の分析2" 日本教育心理学会第40回総会発表論文集. (1998)
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[Publications] 高木和子 他: "4歳児にみられるひらがな自発読みのはじまり" 日本読書学会第42回発表資料集. 72-80 (1998)
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[Publications] 高木和子: "一人ひとりに焦点をあてた「授業」における学びの構造" シンポジウム「学校」の教育心理学. 2-14 (1998)