1999 Fiscal Year Annual Research Report
英語圏における多文化社会に関しての学際的比較研究-カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリアの多文化主義
Project/Area Number |
09410048
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
宮井 勢都子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (10200114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅山 香代子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (20151938)
西村 由起子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (70198513)
小川 晃一 東洋学園大学, 人文学部, 特任教授 (80000652)
稲村 美貴子 東洋女子短期大学, 教授 (00248949)
宇田川 史子 東洋女子短期大学, 教授 (90248948)
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Keywords | 多文化主義 / 人種 / エスニシティ / 移民 / 言語政策 / 多文化教育 / 市民圏(シチズンシップ) |
Research Abstract |
今年度は、科研費補助金研究の最終年度に当たるため、研究分担者がそれぞれ個別研究をまとめる作業を行ってきた。同じ「多文化主義」という用語を用いてはいるが、カナダ、オーストラリア、アメリカ合衆国、イギリスでは、その言語によって想起させられるイメージは大きく異なる。カナダではケベックとの共存によって「南の脅威(アメリカ合衆国)」に対抗しうる「建国理念」と「独立国家」としての安定を築き上げていく必要性が、また、オーストラリアにはアジアの経済圏の一角として国内のアジア人との共存の必要性が、多文化主義を国の政策として早くから取り入れた背景に見られる。それゆえ、両国においては、多文化主義は、国家統合政策として語られ、ナショナリズムの一つの形態として語られることが多い。これに対して、アメリカ合衆国においては、「多文化主義」はいまだに経済的不平等や、特定人種に対する憎悪・偏見が根強く残る社会的現実の中で、移民政策や国家統合政策の問題として語られる以上に、「人種」を中心に問題化されてきた。アメリカの「建国理念」、ナショナリズムの質そのものが、構造的に不平等を再生産してきたとする根元的な問いがなされ、多文化主義は単なる多文化的現実を説明する用語としてよりは、既存の「知」のあり方(教育・研究)を問い直す動きとして位置づけられる側面も持つ。イギリスの場合は、第二次大戦以後の非白人移民の受け入れの結果生じた多文化状況の中で、旧殖民地出身者への「市民権」承認の延長線上に多文化主義が成立しつつあると言える。またイギリスの多文化主義はイスラム系の存在によって、そのあり方を鋭く問われている。政治理念・規範・生活様式・言語において深くイギリス的伝統の影響を受けている英語圏の多文化社会を比較研究することにより、そりぞれの国の多文化状況が抱えている課題をさらに検討し、研究成果の出版につなげたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 稲村美貴子: "「アラブ局」とは何だったのか:イギリスの中東政策の一側面"『「ヨーロッパ」の歴史的再検討』(早稲田大学出版 鈴木健夫編). 307-330 (2000)
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[Publications] 遊 みか: "ケベック州の独立-多文化主義政策導入後の展開"東洋学園大学『紀要』. 8号. 115-126 (2000)
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[Publications] 長谷川瑞穂: "二言語多文化主義への道"英語教育(大修館). 10月号. 30-31 (1999)
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[Publications] 長谷川瑞穂: "二言語多文化主義と言語教育"英語教育. 11月号. 30-31 (1999)
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[Publications] 宇田川史子(共著): "『国際政治経済資料』(「T.ジェンダー」の章を担当"有信堂(細谷千博監修). 246(198-208) (1999)
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[Publications] 高村宏子、宮井勢津子(共著): "『地図でよむアメリカ:歴史と現在』(高村 9項目、宮井 13項目を担当)"雄山閣(川島浩平 他 編). (1999)