1997 Fiscal Year Annual Research Report
河川と湖沼流域における環境保全と文化変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
09410057
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
古川 彰 中京大学, 社会学部, 教授 (90199422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉田 由紀子 琵琶湖博物館, 主任学芸員 (70231256)
秋津 元輝 京都大学, 農学部, 講師 (00202531)
松田 素二 京都大学, 文学部, 助教授 (50173852)
伊藤 康宏 島根大学, 農学部, 助教授 (40201933)
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Keywords | 河川流域 / 湖沼流域 / 環境保全 / 文化変容 / 環境問題 / 琵琶湖 / 矢作川 / 四万十川 |
Research Abstract |
本研究は河川と湖沼の流域社会の環境保全と文化変容の態様の実証的な調査・研究を通じて、環境問題理解のための基礎的な質的データ収集と分析をおこなうことを主な目的とする。 1.そのために平成9年度は下記の調査研究をおこなった。 1)矢作川流域、琵琶湖流域での河川利用と管理について聞き取り調査と資料収集 2)比較河川(四万十川、石狩川)に関する資料の収集 3)滋賀県マキノ町における資料・村の日記(記録)の分析 4)上記、資料のデータベース化 5)研究会などを通じて資料の分析 2.調査研究をとおして、現在の環境問題分析の地域枠組みとしての「流域」「流域社会」の社会連関についてのキー概念の整理をおこなった。また質的資料のデータベース化と相互利用のためのインデックスについての検討をおこなった。 3.他の流域での資料収集をおこなうことで琵琶湖および矢作川の位置づけ作業をおこなった。 以上により、河川利用と管理にかかる資料収集の方法とそのデータベース化の方法についての基本的な合意と、一定のデータ蓄積が行われた。また比較的エクステンシブではあるが他の流域に関する研究の状況と資料の集積により、矢作川および琵琶湖での集積データの特殊性と普遍性についての認識を得ることができた。矢作川も琵琶湖もその管理方式は1級河川指定以降、国家が大規模な改修を含めた管理を行ってきたが、その中においても直接利害を持つ住民がマイクロな地域管理をおこなうことで、河川環境が維持されてきた。高度成長期に工場排水や砂利採取によって引き起こされる極度の環境汚染に対しては、1970年後半以降、直接の利害住民だけではない流域住民が積極的に河川の環境保全にかかわる運動を展開することである程度の環境保全が行われてきたことが理解された。
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