1997 Fiscal Year Annual Research Report
現代家族の変容と家族ライフスタイルの多様化に関する実証的研究
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09410060
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
野々山 久也 甲南大学, 文学部, 教授 (30067863)
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Keywords | 現代家族の変容 / 家族ライフスタイル / 親子ライフスタイル / 夫婦ライフスタイル / 夫婦の合意形成 / 介護ライフスタイル / 介護ネットワーク / 看取りの社会化 |
Research Abstract |
戦後、明治民法の廃止とともに、理念的に民主主義的な家族へと変容することになった夫婦単位制の家族は、高度経済成長とともにサラリーマン家庭へと変容し、父(夫)、母(妻)、そして子どもからなる小さな核家族の形態を理想とする、いわゆる核家族化をすすめた。しかし近年、制度としての家族に対するこうした集団としての家族が、母(妻)である女性たちの社会進出の増大をはじめとして、いわゆる家族の個人化とよばれる方向へと大きく変容し始めてきている。それはかつてのような産業化や都市化ではなく、新たな少産化や長寿化や高度情報化ないし高度技術化など、今日的な社会発展を背景にしたうえでの、「家族ライフスタイルの多様化」をもたらし始めている。本研究では、どのような背景あるいは根拠によって、そうした家族ライフスタイルの多様化が生じてきたのか、そして今後その家族ライフスタイルの多様化は、どのように多様化していくのか、さらには多様化の結果、どのような問題が生じ、その問題に対するサポート・システムはどのようなものであらねばならないのかを、実証的に明らかにすることを目的とする。 平成9年度は、高齢者介護・親子関係・夫婦関係における家族ライフスタイルの多様化について、面接調査を中心にデータを収集した。この面接調査は現在も継続中で、具体的な解析は次年度に行なう予定である。また、わが国で近代に起こった産業化と現代われわれが経験している高度情報化や長寿化などを同時に目覚ましいスピードで経験している中国都市部の家族の情況について、上海社会科学院社会学研究所の田先生に報告していただき、社会発展と家族変動の関係についての考察を深めた。 次年度では、これらから導きだされる知見をふまえて、アンケート調査を実施することを計画している。
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