Research Abstract |
本研究は,少子化や長寿化,高度情報化など,今日的な社会変動を背景に顕在化しつつある「家族ライフスタイルの多様化」に焦点をおき,実証的研究をすすめることを目的としている。とりわけ,家族そのものが自分らしさの追求として個人が主体的に選択するものとなってきたという仮説のもとに,質的および量的の両面で調査を実施し,知見を得ようとする。そこから,家族の今後の動向やそうした動向に付随する問題点を考察し,これからの家族福祉について提言を行なうことを目指している。 今年度(平成10年度)は,まず第一に,昨年度(平成9年度)に行なった面接調査の結果をもとに夫婦関係,高齢者介護,親子関係における家族ライフスタイルの多様化についての考察を深めた。その成果については,第49回関西社会学会大会(平成10年5月23日:於甲南大学)において「家族ライフスタイル化と高齢者介護」と題して,また第71回日本社会学会大会(平成10年11月22日:於関西学院大学)において「家族ライフスタイルの多様化に関する実証的研究」と題して,それぞれ報告した。各報告では,現代家族が個人の選好動機にもとづいて選択されたライフスタイルとしてのもとであるか,それとも規範拘束的ないしは集団拘束的に強いられたり,あるいは状況妥協的に受け入れざるを得なかった生活様式としてのものであるのかについては明らかにすることができた点を強調した。 第二に,これらの面接調査での知見をもとに今年度は,さらに量的調査としての質問紙調査を実施した。これは兵庫県の都市部(神戸市東灘区,西宮市,芦屋市,宝塚市)に居住する35歳以上65歳未満の既婚男女を母集団に2,000ケースを標本抽出し,郵送法にて行なった。すでに回収作業やデータの入力作業は終わり,現在,分析の最中である。。 次年度(平成11年度)は最終年度であり,今回実施した面接調査と質問紙調査の詳細な分析とその結果を,報告書として刊行していく予定である。
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