1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国ナショナリズムと少数民族文化の変容過程に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
09410088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 孝一 九州大学, 大学院人間環境学研究科, 教授 (80037035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 俊華 九州大学, 教育学部, 助手 (30284459)
西原 明史 安田女子大学, 文学部, 講師 (60274411)
片山 隆裕 西南学院大学, 人文学部, 教授 (90169475)
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Keywords | 少数民族 / ナショナリズム / 国民国家 / 文化変化 / 文化人類学 |
Research Abstract |
現代中国は社会主義経済から市場経済体制へ移行中にあり、同時に社会的安定を求めている。特に少数民族において経済的不利益から社会経済的に不安定な状況にあり、その意味で少数民族は政策は重要な政治課題となっている。 本研究でわれわれは特にウイグル族、朝鮮族に関する伝統文化の持続性と変容を焦点に置いているが、現在までのところ、中国政府の対少数民族政策には2段階があるという理解をしている。第1段階としては、少数民族の自立性を認め、伝統的文化の存続を容認する政策を持っている。たとえば、少数民族地域における民族学校の存在がその証拠であるし、その基本には憲法の規定によって保証されている。しかしながら、その第2段階として各種民族の自立性よりも、中央政府の中華人民共和国としてのナショナリズムがより優先する。したがって、第1段階の政策は国家としての安定と発展を前提とする限定付きである。これは中国の少数民族政策の基本的特徴で、「少数民族優遇政策」の限界であると考えられる。これは多民族国家におけるナショナリズムの限界ともいうべく、近年におけるアメリカにおけるアファーマティブ・アクションの限界とも比較して検討されるべき課題である。 本研究は来年度を最終年とするが、われわれはさらに民族教育、なかんずく家庭における宗教、言語の諸問題を取り扱うつもりであるが、新疆師範大学および中央民族大学の協力を得て、研究過程において検証を進めつつある。来年度は研究法則所を出版する予定である。
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[Publications] 丸山孝一: "文化相対論再考" APCアジア太平洋研究. 2. 3-10 (1998)
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[Publications] 丸山孝一: "民族の出会いと共生" 教育と医学. 46・5. 20-27 (1998)
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[Publications] Maruyama,koichi: "Reconsikering the Caltural Relativism" Journcl of Asian Pacific Center. vol.2. 5-13 (1998)
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[Publications] 西原,明史: "「サイードの振り子」,江渕一公編「トランスカルチュラリズムの研究」所収" 明石書店, 19 (1998)