1999 Fiscal Year Annual Research Report
中国ナショナリズムと少数民族文化の変容過程に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
09410088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 孝一 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (80037035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 隆裕 西南学院大学, 人文学部, 教授 (90169475)
篠原 清昭 九州大学, 人間環境学研究科, 助教授 (20162612)
坂元 一光 九州大学, 人間環境学研究科, 助教授 (20150386)
西原 明史 安田女子大学, 文学部, 講師 (60274411)
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Keywords | アイデンティティ / ナショナリズム / 民族教育 / 中華思想 / 親族集団 / 人口政策 / 通過儀礼 / 教育民族誌 |
Research Abstract |
本研究は中国の少数民族政策を分析と、少数民族文化の持続と変容がナショナル・ポリシーの中でどのような位置づけをされているかを明らかにすることを目的とした。ここでは特に新疆ウイグル族と朝鮮族を対象民族として選び、社会主義経済から市場経済への移行期における問題点を明らかにした。この変容過程において、われわれは次の2つの段階があることを指摘した。 第一に、少数民族の自立性を認め、伝統的文化の存続を容認する政策である。少数民族地域における民族学校の活動はその一例であり、これは基本的に憲法によって保証されたものである。しかし、第二に指摘しなければならないことは、各民族の自立的文化の維持発展要求よりも中央政府によるナショナリズムの方が優越し、民族文化発展の限界が国家によって抑制されるという点である。憲法における民族文化の保証は全体の国家的レベルで限度をもうけられている。これは中国における少数民族政策の基本的特徴で、ここに少数民族優遇政策の限界がある。これは一般的に多民族国家におけるナショナリズムの限界ともいうべく、近年におけるアメリカのアファーマティブ・アクションの限界とも比較して検討されるべき課題であると認識している。 中国の少数民族地域における経済的後進性は政府自体によっても特に問題とされており、同地域における経済発展が重点政策になろうとしている。しかし他方では、過去1,2年間,特定宗教団体に対する政府の締め付けが一段と厳しくなっており、これが少数民族の宗教活動にどのような影響を及ぼすのかは、今後引き続き観察を要するところである。
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[Publications] 丸山孝一: "国境と少数民族"シルクロード. 8. 2-3 (1999)
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[Publications] 丸山孝一: "民族の出会いと共生"教育と医学. 5月号. 20-27 (1998)
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[Publications] 丸山孝一: "九州の文化力学"九州マーケティング・アイズ. 1月号. 22-23 (2000)
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[Publications] 坂元 一光: "通過儀礼と表象テクロノジー"九州大学大学院教育学研究紀要. 第2号. 191-201 (1999)
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[Publications] 篠原清昭: "現代中国の教育法体系と教育法理論"九州大学大学院教育学研究紀要. 創刊号. 3-17 (1999)
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[Publications] 佐々木衛: "中国朝鮮族の家族ネットワーク:吉林省延辺地区の事例"山口大学文学会志. 155-172 (1999)