1999 Fiscal Year Annual Research Report
明清代中国における档案史料からみた政策立案・遂行プロセスの分析と研究
Project/Area Number |
09410097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 文俊 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (50261748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠木 賢道 筑波大学, 歴史・人類学系, 講師 (50234430)
中井 英基 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (70068758)
片岡 一忠 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (50092515)
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Keywords | 档案 / 文書行政 / 奏摺 / 清朝 / 皇帝 / 官僚 / 満漢合璧 / 官印 |
Research Abstract |
1,清朝文書の最大の特徴である満漢合璧文書について比較検討をおこなった。入関後の日常的文書である題本や奏摺についての分析は皆無に近い。18世紀清朝最盛期の乾隆期における満漢合璧の奏摺文について分析した。両文の内容に大きな差異はないが、漢文の内容が形式的にそつのないのに比して満文の表現が率直かつ具体的であることを指摘できる。それは満州語と漢語の語彙の差異によることもあるが、満州語が読まれないであろうとの安心から上記の差異が生じたといえる。いいかえれば、満文文書は皇帝と満人官僚のあいだの重要な情報伝達手段であった。 2,前2年間の成果をふまえて、明清時代中国の文書行政・官僚制度を具体的に提示するために、上記(1)を含む各種文書の基本的形式のサンプル、文書行政制度(避諱、抬頭、文書書式、文書の「行文」関係等)、関係官衙・人員(内閣、軍機処、通政使司、幕友、書吏)、および特殊文書用語を概括的に解説した『清代文書解題』を作成した。档案文書は皇帝体制・官僚政治の明確な反映であるといえる。 3,中国档案文書には奏摺等一部の文書を除いてかならず「官印」が押されている。「官印」は皇帝権威の表徴である。文書行政と密接に関係する「官印」も日本で所蔵されている。岩手県立博物館所蔵の太田孝太郎旧蔵中国古印コレクションがそれである。同館には清朝時代の「官印」である満漢合璧文印が12個所蔵されていることを実物確認した。
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