1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡土壌に含まれる有機遺物の採集および分析法の開発-特に低湿地遺跡出土の動植物遺体を中心として-
Project/Area Number |
09410110
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
松井 章 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (20157225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 直隆 帯広畜産大学, 獣医学科, 助教授 (00109521)
平山 良治 国立科学博物館, 筑波実験植物園, 主任研究官 (50124186)
牧野 久美 滋賀県立琵琶湖博物館, 学芸技師
加藤 真二 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 研究員 (20261125)
臼杵 勲 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 主任研究官 (80211770)
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Keywords | 動物考古学 / 植物考古学 / 環境考古学 / 有機遺物 / 遺伝子考古学 / 生物考古学 / 生態考古学 / 家畜史 |
Research Abstract |
研究業績 現生動物の骨格標本の作製は、京都大学大学院生と沖縄県伊江村教委の協力を得て約120個体、牧野久美の協力により、琵琶湖博物館所蔵の淡水魚類60個体を入手し、すでに骨格標本として作成済みである。DNAに関しては、帯広畜産大学の石黒直隆の分析試料を入手するために京都大学大学院生を同行して、沖縄県内のリュウキュウイノシシの調査を実施しサンプリングを行った。また、家犬のDNAについても沖縄県、兵庫県において家犬出土遺跡の調査を行い、次年度に試料採取を行う予定である。遺跡土壌の物理的性質を知る上での土壌微細形態学的研究については、研究協力者の京都大学大学院生、宮路淳子が原の辻遺跡、千歳市美々8遺跡などにおいて土壌薄片用の試料を採取し、薄片の作成を平山良治のもとで行った。奈良国立文化財研究所においては、臼杵勲、加藤真二の協力を得て平城宮内の大溝、築地基壇の土壌を採取し、土壌に含まれる化学物質、特にリン酸、硫黄などの成分分析を研究協力者、奈良女子大学の的場輝佳、荻野真理に委託し成果を得ている。松井章の個人研究としては、長崎県壱岐原の辻遺跡、長崎県福江島大浜遺跡、岡山城本丸、沖縄県伊江村具志原貝塚、愛媛県松山市宮前川遺跡、兵庫県淡路島佃遺跡、京都府網野町松ガ崎遺跡などから出土した動物遺存体の分析を、京都大学大学院生の協力を得て行い、各時代、各地域の動物利用の文化を明かにすることができた。遺跡土壌に含まれる化学物質、有機物物質の研究は、日本においてはその端緒についたばかりで、本年度は、研究対象の枠組みを作ることに専念し、次年度からは具体的な個別分析例を増やしていきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松井 章: "遺跡出土の動物化石が語る人類文化" 化石研究会会誌. Vol.30(1). 1-36 (1997)
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[Publications] 松井 章: "考古学から見た動物利用" 部落解放なら 奈良県部落解放研究所. No.8. 2-31 (1997)
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[Publications] 松井 章: "トイレ考古学の世界" 「トイレの考古学」大田区立博物館編. 165-182