1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09420003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小森田 秋夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30103906)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 達彦 三重大学, 人文学部, 教授 (40115689)
上田 寛 立命館大学, 法学部, 教授 (90093195)
竹森 正孝 東京都立短期大学, 教授 (90111062)
森下 敏男 神戸大学, 法学部, 教授 (90107920)
大江 泰一郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (00097221)
|
Keywords | 人権 / ロシア法 / ソビエト法 / 社会主義法 / 比較憲法 / 法文化 / 体制転換 / ポスト社会主義 |
Research Abstract |
1. 前年度に続く方法論的検討の一環として、論争的な問題提起をおこなっている大江泰一郎と森下敏男(いずれも研究分担者)の見解について、研究代表者の小森田の整理にもとづいて議論をおこなった。大江は、一国の法システムを、社会的・経済的構造によって規定される「歴史的類型」と比較法文化史的類型との組み合わせによってとらえたうえで、前者(社会体制)よりも後者(法文化)の重要性を強調する。森下は、市場経済(市民社会)か非市場経済(共同体)かという社会体制の区別が法文化のあり方を規定する、と考える。このように異なる方法論的前提に立つ両者は、ロシアの法文化の特徴について類似したとらえ方をしながら、その歴史的起源、社会主義との関係、人権を含むポスト社会主義期の法現象の評価などをめぐって、異なる見解を示している。 2. 社会主義時代とは異なり、ロシアにおいても、とくにヨーロッパ審議会に加盟したことにより、ヨーロッパ=レベルでの人権の国際的保障ということが重要な論点になっている。そこで、ヨーロッパ人権条約における主権と人権の問題について建石真公子氏の報告を受け、認識を深める一方、ロシアにおける国際法と国内法との関係についての理論的変化の軌跡を検討した。 3. 研究分担者のあいだで分担した各論的テーマ(基本的に93年憲法の定める人権カタログに即したもの)をめぐる研究を進め、研究会において中間報告を行ったた。 4. 前年度に確認されたように、憲法制定過程の実証的な研究に不可欠なのは憲法協議会の議事録(全20巻)であるが、これを使いやすくするために索引を作る作業を、分担して進めた。きわめて手間のかかる作業であるため、今年度は完成には至らなかった。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 杉浦 一孝: "ロシア連邦における移動の自由等についての市民の権利" 長谷川・丹羽編『自由・平等・民主主義と憲法学』(大阪経済法科大学出版会). 253-279 (1998)
-
[Publications] 杉浦 一孝: "ロシアのヨーロッパ審議会への加盟と人権問題" 日本国際問題研究所『民主化と市場経済化の状況下におけるロシアの立法動向』. 87-116 (1999)
-
[Publications] 上野 達彦: "武器による犯罪とその法的規制" 日本国際問題研究所『民主化と市場経済化の状況下におけるロシアの立法動向』. 73-86 (1999)
-
[Publications] 大江泰一郎: "比較憲法史の方法ーーロシア・ソビエト法研究の経験から" 比較憲法史研究会編『憲法の歴史と比較』(日本評論社). 15-27 (1998)
-
[Publications] 竹森 正孝: "体制転換とロシア新憲法" 比較憲法史研究会編『憲法の歴史と比較』(日本評論社). 129-140 (1998)
-
[Publications] 小森田秋夫: "ポーランドにおける議会・違憲審査制・レフェレンダム" 比較憲法史研究会編『憲法の歴史と比較』(日本評論社). 444-457 (1998)
-
[Publications] 稲子恒夫、武井寛、小森田秋夫: "世界の社会福祉(2)ロシア・ポーランド" 旬報社, 474 (1998)