1997 Fiscal Year Annual Research Report
現代国際法における武力不行使原則の位置付けと実効性
Project/Area Number |
09420006
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 仁介 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20026777)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 正弘 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (60025161)
位田 隆一 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40127543)
杉原 高嶺 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30004154)
|
Keywords | 武力不行使原則 / 国際連合 / 集団安全保障 / 安全保障理事会 / 人道的介入 / 国際司法裁判所 / 多国籍軍 / 憲章第7章 |
Research Abstract |
本年度は、まず文献・資料の検索・収集を行い、武力不行使原則の現代における理論的及び実際的問題点の洗い出しに努めた。武力行使の合法性の問題に関する理論的展開と今日までの到達点を歴史的に確認する作業を行った。その上で、定期的に研究状況を報告し合い、議論を重ねていく体制を作っている。 その中でとりわけ重要な問題の1つは、冷戦終了後の国連の枠内における武力行使原則の理論と実際の乖離現象である。湾岸戦争においては、憲章第7章に基づく形ながら、国連軍ではなく多国籍軍に武力行使を認めてしまった。憲章の予定しなかった形である。他方で、武力不行使原則の機構的基盤となるべき安全保障理事会も、国際司法裁判所における紛争解決との関係で、その権限の限界が問題になっている。こうした武力不行使原則を取り巻く状況について、杉原高嶺は「国際裁判の機能的制約論の展開 -政治的紛争論の検証-」を発表し、位田隆一は武力行使禁止を憲法上定める日本に照準を合わせて、より一般的に国連との関係を“Japan in the International Community of th 21st Century:Its Role in the United Nations"としてフィリピンで英文で論じる機会を得た。 他方で、「人道的」介入の形をとる武力行使が認められるかについては現在学会で議論が盛んに行われている。確かに武力不行使原則の起源は、国家が様々な口実を設けて戦争を始め又は侵略を行ってきた点にある。問題は、人道又は人権という基本的価値を保護するために武力介入が許されるかにある。現実にアフリカや旧ユ-ゴではその例がみられる。この問題について、安藤を中心として議論を始めている。西井は英国滞在の機会があったので研究成果をまとめつつある。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 杉原 高嶺: "国際裁判の機能的制約論の展開-政治的紛争論の検証-" 国際法外交雑誌. 96・4-5. (1998)
-
[Publications] Ryuichi Ida: "Japan in the International Community of the 21st Century : Its Role in the United Nations" Image and Reality : Philippine-Japan Relations towards the 21^<st> Century. 3-20 (1998)