1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09420007
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
田畑 茂二郎 財団法人世界人権問題研究センター, 所長 (00280678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 正弘 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60025161)
本間 浩 駿河台大学, 法学部, 教授 (30209340)
金 東勲 龍谷大学, 法学部, 教授 (20067911)
安藤 仁介 同志社大学, 法学部, 教授 (20026777)
竹本 正幸 関西大学, 法学部, 教授 (60067535)
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Keywords | 国際人権保障 / 国際人権規約 / 規約人権委員会 / 国家報告制度 / 個人通報制度 |
Research Abstract |
人権保障を国際的に確保するためには、人権条約を締結することによって締約国に国際義務を課すだけでは不十分であって、締約国による国際義務の遵守を確保する措置が不可欠である。そのため、各人権条約は、それぞれの実施措置について定めているが、なかでも「市民的及び政治的権利に関する国際規約」は、国家報告制度、国家通報制度および個人通報制度を通じて規約義務の遵守を目指している。本研究では、この国際規約により設置された規約人権委員会の活動を具体的に検討することによって、国際人権保障の実効性と限界を明らかにすることを目的としている。その方法として、第一に、締約国が提出する報告の内容と人権委員会による審議状況を、昨年に引き続き検討した。本年度は、スリランカ、エジプト、ブラジル、グアテマラ、リトアニア、アルジェリア、マルタ、ザンビア、エストニア、ジンバブエ、イスラエル、スイスなどの報告をとりあげた。国際人権規約の締約国数の増加に伴って、規約人権委員会は、効果的な審議を実施するために審議方法の改善などを行ってきた。それが人権保障の有効性にどのような影響を与えるかは、各国の次回報告の内容と審議状況によって明らかになるであろう。また、資料や情報などの提供を通じて、委員会の審議を側面から支援するNGOの役割がますます重要になってきていると言えよう。 第二に、本年度から個人通報制度の検討を開始した。個人通報に関する委員会の権限を定めた選択議定書の締約国数の増加に伴って、個人通報の数も増大している。委員会が通報を受理しなかった(inadmissible)理由は様々であり、その整理と分析も必要であるが、許容された通報が規約違反に該当するか否かの判断を通じて、規約の各条の意味が明確にされていることは重要である。次年度も、二つの作業を継続する予定である。
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