1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09420013
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
町野 朔 上智大学, 法学部, 教授 (60053691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 輝之 帝京大学, 法学部, 助教授 (00182634)
安村 勉 金沢大学, 法学部, 教授 (40166525)
丸山 雅夫 南山大学, 法学部, 教授 (50140538)
林 幹人 上智大学, 法学部, 教授 (80092302)
松尾 浩也 上智大学, 法学部, 教授 (10012262)
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Keywords | 環境刑法 / 環境行政法 / 環境保護 / 公害刑法 |
Research Abstract |
環境刑法の総合的研究において検討すべき問題点を、(1)環境刑法の保護法益 (2)環境保護のために刑法が果たすべき役割 (3)環境刑法における犯罪の構成 (4)環境侵害をもたらした組織体に対する刑事責任追求のあり方 (5)環境侵害に対して課されるべき制裁および執行の際の問題点 (6)国際環境刑法の必要性 のように整理した。そして各問題点への導入として、まず我が国の環境問題に対する法的対応の変化を時系列的に考察し、「公害刑法から環境刑法へ」といわれるパラダイム転換の意義を問い直した。それを踏まえた上で、問題点(1)(2)の環境刑法が保護すべき法益、環境保護のために刑法が果たすべき役割について、具体例として「水」および「原子力・放射線」をあげながら理論的な検討を加え、その中において我が国のこれまでの環境保護への法的対応の限界をも明らかにした。また上記(3)については、環境保護先進国であるヨーロッパ諸国の犯罪構成要件モデルを参照し、比較法的視点によりその問題の解明に努めた。 環境問題は行政法関連分野であり、行政法規による取り締まりの実態を把握することも不可欠である。そのため、行政法の研究者を講師に迎え、環境行政法の運用実態、および環境保護のために刑法が果たすべき役割についての講義を行った。 なお、(4)から(6)についての問題点の検討・考察、および環境問題の現状把握のための実地調査等は次年度行う予定である。
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