1998 Fiscal Year Annual Research Report
技術連関表に基づく科学技術と経済成長・国際分業・金融システムの関係の研究
Project/Area Number |
09430005
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
菰田 文男 埼玉大学, 経済学部, 教授 (60116720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 修 九州大学, 経済学部, 助教授 (40184527)
鳴瀬 成洋 神奈川大学, 経済学部, 教授 (20156003)
大石 芳裕 明治大学, 経営学部, 教授 (40168860)
田中 素香 東北大学, 経済学部, 教授 (20094708)
木下 悦二 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00037095)
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Keywords | 科学技術 / 研究開発 / 技術移転 / 経済成長 / 国際経済 / 日本経済 / 国際分業 / 国際金融 |
Research Abstract |
21世紀を目前とした現在、経済成長パターンはエネルギー集約少品種大量生産から情報集約的多品種少量生産にシフトしつつあり、この新しいパラダイムへの適応力の相違が国際競争力の格差となって現れることによって国際分業構造は変化し、国際短資移動が経済成長を攪乱している。本研究の目的は、このような変化の基礎にあるのが、技術進歩であり、とりわけ情報通信技術の進歩やそれを基礎としたコンピュータネットワークの爆発的拡大であるという認識に立って、技術の進歩や技術移転が経済成長・国際分業・国際金融にどのような影響を与えているかを分析することにある。そのために、科学技術データベース(COMPENDEX、PATOLIS等)から技術連関表を作成し、ソフトウェアからハードウェアに至る多様な情報通信技術の進歩が、コンピュータネットワークをどのように進化させつつあるのかを解明した。次いで、このネットワークの上に多様なアプリケーションが生まれ消費主導の多品種少量生産型の経済成長パターンが生まれつつあること、新しい技術パラダイムの中心が情報通信技術であることを論証した。以上のような基本的観点にたって、日本・アメリカ・ヨーロッパ・アジアの経済成長のメカニズムや国際競争力について、1980-90年代に焦点を当てて分析した。まず、日本については、ソフトウェアよりもハードウェアに偏った奇形的な技術進歩がネットワークの弱点となり、新しい経済成長パターンの確立の障害になっている。アメリカについては、情報通信技術が「ニューエコノミー」と言われる新しい経済成長パターンを作り上げつつあるが、反面それは金融面で脆弱性を抱えたものであることが分かった。ヨーロッパについては、日本以上に情報通信技術に遅れていて、多品種少量生産への転換も遅れているが、金融面での前進が大きな強みとなっていることが分かった。アジアの中でも中国については、国営企業の改革による社会主義市場経済の成否が、今後の技術進歩の動向を左右することが分かった。
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Research Products
(30 results)
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[Publications] 菰田文男: "技術連関表の科学技術政策論的含意" 研究・技術・計画. 13巻3・4号. 136-142 (1999)
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[Publications] 菰田文男・宮内充・浦山重郎: "情報通信ネットワークの技術連関表と国際比較" 情報通信学会年報. 1998年号. 110-128 (1998)
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[Publications] 菰田文男: "マルチメディアサービス育成の通信ネットワークアプローチとコンピュータネットワークアプローチ" 電気通信財団研究調査報告書. 12号. 731-738 (1998)
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[Publications] 菰田文男: "技術連関表と日本の技術戦略" 研究開発マネジメント. 1999年2月号. 34-41 (1999)
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[Publications] 菰田文男: "新しい消費社会と研究開発システム" 経営情報学会誌. 1999年3月号(刊行予定). (1999)
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[Publications] 木下悦二: "「東亜的奇跡」和社会主義市場経済" 国際経済評論(中国社会科学院). 5-6月号. 25-27 (1997)
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[Publications] 木下悦二: "東アジアの発展をめぐる二つの論点" 東アジアへの視点(国際東アジア研究センター). 8巻4号. 81-86 (1997)
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[Publications] 木下悦二: "東アジアの経済発展と97年通貨危機" 産業経済研究. 39巻1号. 1-14 (1998)
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[Publications] 田中素香: "EU単一ユーロと国際通貨体制" 世界経済評論. 12月号. 20-34 (1998)
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[Publications] 大石芳裕: "国際マーケティング複合化の実態" 経営論集. 43巻3・4号. 157-198 (1997)
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[Publications] 大石芳裕: "日本多国籍企業の環境経営" 経営論集. 45巻1号. 35-71 (1997)
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[Publications] 大石芳裕: "日本自動車会社の環境経営" 経営学論集(日本経営学会). 68集. 194-199 (1998)
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[Publications] 大石芳裕: "日本自動車会社における地球環境対策" 日本経営学会誌. 3号. 38-49 (1998)
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[Publications] 大石芳裕: "国際マーケティング複合化の一考察" 国際ビジネス研究学会年報. 1998年版. 139-158 (1998)
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[Publications] 大石芳裕: "アジアにおける環境問題と対策" 東西南北. 1998年3月号(刊行予定). (1999)
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[Publications] 大石芳裕: "タイ金融危機が国際ロジスティックスに及ぼした影響" 経営論集. 46巻3・4号(刊行予定初稿済み). (1999)
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[Publications] 川本忠雄: "Revolution of Destribution in East Asia Development" 下関市大論集. 40巻3号. 109-131 (1997)
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[Publications] 川本忠雄: "アジア経済危機と貿易の再編成" 下関市大論集. 43巻1号(刊行予定). (1999)
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[Publications] 石田修: "構造変化と国際競争力" 48巻2号. 109-111 (1997)
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[Publications] 石田修: "比較生産費説の定義とその政策的含意(1)" 経済学研究. 65巻4号. 27-42 (1998)
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[Publications] 鳴瀬成洋: "1990年代の地域経済圏---米墨関係の新展開とNAFTAの形成" 商経論叢. 35巻1号(刊行予定). (1999)
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[Publications] 菰田文男: "技術パラダイムの経済学" 多賀出版, 260 (1998)
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[Publications] 浦山重郎(菰田文男): "情報・通信ビッグバン" 東洋経済新報社, 199 (1998)
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[Publications] The Third ECSA-World Conference(Sokoh Tanaka): "The European Union un a Changing World" The Third ECSA-World Conference, 554 (1998)
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[Publications] J van Scherperberg(ed.))(Sokoh Tanaka): "Towards Rival Regionalism? US and EU Regional Regulatory Building" Nomos Verlags Gesellshaft, 247 (1998)
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[Publications] 明治大学経営学研究会編(大石芳裕): "経営学への扉" 白桃書房(刊行予定), (1999)
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[Publications] 安室憲一編: "地球環境時代の国際経営" 白桃書房(刊行予定), (1999)
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[Publications] 夏目啓示編(金子秀): "競争と協調の技術戦略" ミネルヴァ書房(刊行予定), (1999)
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[Publications] 川口・浜砂編(石田修): "現代経済システムの諸問題" 九州大学出版会, (1997)
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[Publications] 納富一郎編(石田修): "空間へのパースペクティブ" 九州大学出版会(刊行予定印刷中), (1999)