1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻下 徹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10107063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 秀一郎 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60144424)
郡司 幸夫 神戸大学, 理学部, 助教授 (40192570)
塩沢 由典 大阪市立大学, 経済学部, 教授 (00109076)
金子 邦彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30177513)
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
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Keywords | 複雑系 / 不定性 / 内部観測 / 2元論 / 高次元圏 / ミルナーアトラクタ / 関数マップ / 動的認識子 |
Research Abstract |
1.複雑系研究の基礎分析:「形式化の困難さ自身が複雑系の本質と不可分である」という困難を突き詰めることで以下のような視点が浮かびあがってきた (1)代入の不定性:角田は代数幾何における研究の自然な展開において、代入操作の不定性を発見し、これを通して「ラッセルの逆理」についての全く新しい解決を与えた。それと同時に、代入操作の不定性を活用することにより、種々の自然数の体系を構成する道を開いた。(2)圏論を用いた2元論の分析:郡司は、グラフから構成される自由圏における恒等射や合成の一部を変形させる操作によって、新たなグラフを作るという操作によって、圏の構造が発生する場合があることを、計算機実験を通して観察し、これを通して2元論という認識論的基盤の分析を行っている。(3)帰納法の不定性とそれにかわる高次元圏:Essenin-Volpinが強調した自然数列の不定性を敷衍し、辻下は帰納法・推移的閉包などの操作が不明確であることから、数学における新たな明証性を形成する必要があることを指摘し、その例として高次元圏論による圏論の再構築を行った。 2.構成的アプローチによる成果 (1)津田は、ミルナーアトラクタの変形により、カオス遍歴の低次元のモデルを構成した。(2)金子等は結合格子モデルの巨視的変数がノイズによって決定的運動を起こすことを計算機実験を通して明確にした。(3)金子等は、写像空間上の力学系として、関数マウプモデルを提唱し、そのふるまいを、1次元マップの階層構造によってほぼ解明した。(4)池上はゲームプレーヤーに動的認識子による記憶能力を付与することによって、位置情報を持つゲームにおいて、ナッシュ均衡解からパレト均衡解へ移る場合が生じることを観察した。(5)津田は海馬CA3-CAl記憶系の新しい数学的モデルを提案し、時系列の記憶と再生について考察した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Gunji, P-Y.: "Ontological measurement" BioSystems-. 46. 175-183 (1998)
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[Publications] Gunji, P-Y.: "Orthomodular lattice obtained from adressing a fixed point, in press." Physica D.
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[Publications] Gunji, P-Y.: "Dual interaction producing both territorial and Schooling behavior in fish, in press." BioSystems.
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[Publications] Ikegami, T.: "Emergence of Collective strategies in a prey-predator game model," Artificial Life Journal. 3(4). 243-260 (1998)
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[Publications] K.Kaneko: "Life as Complex Systems: Viewpoint from Intra-Inter Dynamics, in press," Complexity.
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[Publications] K.Kaneko: "Dieversity, Stability, Recursivity, Hierarchy, and Rule Generation in a Biological System studied as Intra-inter Dynamics," Int.J.Mod.Phys.B.12. 285-298 (1998)
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[Publications] T.Tsujishita: "Construction of universal modal worlds based on hyperset theory" Arch Math Logic. 38. 1-18 (1999)
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[Publications] 金子邦彦: "複雑系の進化的シナリオ" 朝倉書店, 316 (1998)
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[Publications] 辻下 徹: "「生命と複雑系」in複雑系の科学と現代思想「数学」,p75-225" 青土社, 150 (1998)