1999 Fiscal Year Annual Research Report
変動金利の確率過程モデルと金利商品価格の実証的研究
Project/Area Number |
09440074
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Research Institution | ATHE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (00114463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 明彦 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50313226)
吉田 朋広 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (90210707)
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Keywords | 変動金利 / 確率偏微分方程式 / 数理ファイナンス / ハザード率 |
Research Abstract |
本研究の目的は金利モデルとして近年研究が始まった確率偏微分方程式モデルについて理論的研究及ぴ実証的研究を行うことにあった。当初の研究計画では国債やLlBORといったリスクのない金利のみを対象とする事を考えていた。しかし、倒産の可能性のある会社の社債などに関連したいわゆるクレジットデリバティブに対する関心が近年高まり、当初の計画を若干変更して倒産確率を含むモデルの構築も研究の対象としていった。 まず金利に関連した確率偏微分方程式の研究に関してはある適当な境界条件・係数に対する条件の下で、解の存在と一意性を示した。また解が正の範囲にとどまる条件も与えた。 次にdefaultのある債券の価格の理論的研究を行った。ここでは、従来信じられていた、hazad rate processとdefaultの条件付き確率との関係を与える公式が一般には成立しないことをファイナンスとして意味のある例の下で示した。また連続観測のフィルターリングモデルにおけるHazard rate processに対する公式を与えた。 数理ファイナンスにおいてはモデルから決まる実務的に重要な価格公式は期待値の形で表示される。統計パラメータの推定等においても、この期待値を精度よく高速に計算することは重要である。拡散モデルという特別な、しかし一般的に用いられているモデルにおいて、従来とは全く違う数値計算法を考案し、理論的には非常に効率かよいことを証明した。ヘッジング戦略等はさらに複雑な期待値の計算が必要であり、その点は将来の問題として残された。 数理ファイナンスにおいては確率過程モデルにおける統計学が今後重要になっていくと考えられる。その理論の構築も今回の研究テーマの一つであった。今回の研究では、準楕円性をもつ拡散過程について、その加法的汎関数の分布の収束に関する漸近展開公式を得たにとどまった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S. Kusuoka: "A Remark on defalt risk models"Advances in Mathematical Finance. 1. 69-82 (1999)
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[Publications] S. Kusuoka: "Term Structure and SPDE"Advances in Mathematical Finance. 2. 67-85 (2000)
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[Publications] S. Kusuoka: "Malliavin Calculus, Geometric Mixing, and Expansion of Diffusion Functional"Probability Theory and Related Field. (発表予定).
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[Publications] S. Kusuoka: "Laplace Approximations for sums of independent random vectors"Probability Theory and Related Field. (発表予定).
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[Publications] A. Takahashi: "An asymptotic expansion approach to pricing financial contingent claims"Asia-Pasific Financial Markets. 6. 115-151 (1999)