1998 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒分光法による半導体再構成表面の光誘起原子過程の研究
Project/Area Number |
09440115
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷村 克己 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00135328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 千尋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60211744)
金崎 順一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80204535)
|
Keywords | 細構成表面 / 原子放出 / 光誘起構造変化 / STM / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
平成10年度は、前年度開発した、P、As等の高いイオン化エネルギーを有する非金属原子原子の高感度検出法であるフェムト秒パルスレーザーによる非共鳴多光子イオン化分光の手法を用いて、InP清浄表面からの原子放出機構を中心に研究を展開した。更に、前年度からの継続課題である、Si(111)再構成表面を対象とした光誘起構造変化機構を明確にする研究を行った。その結果、以下の成果を達成している。 1、 Siの(111)-7x7再構成表面を、可視から紫外領域のナノ秒広帯域波長可変レーザー、およびフェムト秒パルスレーザーを用いて励起し、その際放出されるSi原子の運動エネルギー分布・強度変化の詳細な測定を行い、adatomのボンド切断が、表面電子励起状態の2正孔局在によって形成される、表面最上層adatomサイトにおけるphonon kick機構によるものである事を明らかにした。この結果は、Physical Review Letters誌に発表すると共に、第4回“Laser Interaction with Materials"に関するゴードン研究会議、およびSPIE主催の第4回“Laser Applications in Microelectronic and Optoelectronic Manufacturing"国際会議で招待講演を行った。 2、 InP(110)-(1x1)表面における光誘起原子過程を明らかにすべく、照射表面の走査型トンネル顕微鏡による原子像観察、および、フェムト秒非共鳴多光子イオン化分光による研究を行った。その結果、InP表面の擬1次元的P原子列上に、電子励起効果特有の効果として、vacancy stringsの生成が効果的に発生する事が明らかになった。この結果は、現在、Physical Review Letters誌に投稿中であり、また、原子放出の結果を現在論文としてまとめている段階である。 3、 来年度は、表面電子系の励起源として波長可変フェムト秒レーザーを導入し、2光子光電子分光測定の研究を行って、表面の特定の電子遷移を誘起させて以後の緩和ダイナミクスを明らかにする予定である。
|
-
[Publications] J.Kanasaki: "Translational energy distribution of Si atoms desorved by laser-induced bond breaking of adatoms on Si(111)" Physical Review Letters. 82. 644-647 (1999)
-
[Publications] K.Tanimura: "Laser-induced electronic bond breaking and structural changes on semiconductor surfaces" Laser applications in microelectronic and optoelectronic manufacturing IV(proceedings). (in print).