1997 Fiscal Year Annual Research Report
電界発光性を示す一次元共役高分子の素励起状態の研究
Project/Area Number |
09440116
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 新一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20291403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 修治 電子技術総合研究所, 主任研究官
丸本 一弘 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50293668)
|
Keywords | 共役高分子 / 電界発光高分子 / 非線型励起 / ポーラロン / ESR / ENDOR / 一次元電子系 |
Research Abstract |
一次元共役高分子は、ソリトンやポーラロンといった非線形素励起を生成する一次元電子系であるが、最近、ポリフェニレンビニレン(PPV)で高効率の電界発光が発見され、発光に関与する素励起としてポーラロン状態の解明が重要な問題となっている。われわれがESRおよびENDOR法が素励起の空間形状を直接観測する手法として有用であることを世界に先駆けて示してきた。本研究の目的は、PPVとその誘導体を主な対象として、光励起、ド-ピングなどによって生成したポーラロンのESR、ENDORの測定とその理論的な解析を行うことによりポーラロンの形状や一次元物質の電子状態を解明することである。 本年度は、ESR,ENDOR装置整備の第一段階として、ガン発振器タイプの新しいマイクロ波ブリッジを既設のESR装置に導入し、ESRの感度および安定度を向上させた。さらにこの装置に単芯の光ファイバーを使用した分光照射光源を導入し、光誘起ESRの測定を可能にした。PPVおよびその誘導体であるメトキシPPVについて光誘起ESR信号を確認すると共に、両者のスペクトルの違いについて実験的、理論的に検討を開始した。またPPVについては暗状態におけるENDORおよび三重共鳴の測定を既設の装置により行い、ポーラロンの形状を詳細に観測するとともに、実験結果から電子相関効果を理論的に検討した。また共役高分子と同様に、SSHタイプのハミルトニアンで記述される一次元物質であるハロゲン架橋金属錯体についてもESRの測定を開始し、ソリトン、ポーラロン状態に対するバンド幅、電子格子および電子間相互作用の及ぼす効果の比較検討を始めた。
|