1998 Fiscal Year Annual Research Report
電界発行性を示す一次元共役高分子の素励起状態の研究
Project/Area Number |
09440116
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 新一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20291403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 修治 電子技術総合研究所, 主任研究官
丸本 一弘 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50293668)
|
Keywords | 共役高分子 / 電界発光高分子 / 非線型励起 / ポーラロン / ESR / ENDOR / 一次元電子系 |
Research Abstract |
一次元共役高分子は、ソリトンやポーラロンといった非線形素励起を生成する一次元電子系であるが、最近、ポリフェニレンビニレン(PPV)で高効率の電界発光が発見され、発光に関与する素励起としてポーラロン状態の解明が重要な問題となっている。われわれはESRおよびENDOR法が素励起の空間形状を直接観測する手法として有用であることを世界に先駆けて示してきた。本研究の目的は、PPVとその誘導体を主な対象として、光励起、ドーピングなどによって生成したポーラロンのESR、ENDOR測定をその理論的な解析を行うことによりポーラロンの形状や一次元物質の電子状態を解明することである。 本年度はPPVについては暗状態におけるENDORおよび三重共鳴スペクトルの検討をすすめ、ポーラロンの詳細な形状と電子相関効果を解明することに成功した。得られた結果は英・米グループの光検出ESRの実験結果もよく説明した。これらの成果については論文等で発表した。又、PPVの複数の誘導体(CN-PPV等のシアノ基を置換基として持つ誘導体)を英Cavendish研究所のRichard Friend教授から提供を受け、光誘起ESR測定を行い、光励起ポーラロンによるESR信号の検出に成功した。得られたESR信号形や、その励起スペクトルについて、PPVの場合と比較検討を行い、ポーラロンの形状や一次元物質の電子状態の解明を進めた。
|