1997 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントフォノンをプローブとした時間領域分光と構造変化のダイナミックス
Project/Area Number |
09440119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 信一 大阪大学, 工学部, 教授 (20029226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木曽田 賢治 大阪大学, 工学部, 助手 (90243188)
溝口 幸司 大阪大学, 工学部, 助手 (10202342)
播磨 弘 大阪大学, 工学部, 助教授 (00107351)
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Keywords | コヒーレントフォノン / フェムト秒パルスレーザー |
Research Abstract |
本年度は、1〜500cm^<-1>領域の振動数が高いコヒーレントフォノンの測定を行うことを目的にして、Tiサファイアパルスレーザーの試作を行った。 共振器は受動モード励起の方式を採用し、半導体レーザー励起YAGレーザーの2倍波を光源として発振させた。試作システムの特性は,(1)繰り返し周波数が90MHz,発振レーザーのセンター波長が815nm、スペクトル幅60nm、(2)スペクトル幅から推定したパルス時間幅が11fs,(3)4.5Wの励起光源に対して出力が450mWであった。また出力のドリフトは1%であった。 コヒーレントフォノン測定の光学回路に群速度分散補償器をつけた結果、試料上でSHG法で測定したパルス幅は24fsであった。システムは反射型のポンプープローブ法測定系で構成されており、プローブ光の一部と反射プローブ光の差信号を増幅することによって、光源のゆらぎを補償した。試作したポンプープローブ測定回路では0〜600psの遅延時間領域を3fs時間分解能で掃引出来る。 試作したシステムを用いて、半金属ビスマスと半導体砒化カリウムのコヒーレントフォノンの測定を行い、システムの性能評価を行った。振動数がそれぞれ97,291cm^<-1>のコヒーレントフォノンが良好なS/N比で観測された。 本年度の目的には到達したが、Ti:サファイアの出力に10分ていどの間隔で周期的な変動が見られた。部屋の空調が十分でなく、周囲環境によるゆらぎが大きな原因と考えられる。今後は周囲温度の精密制御、電源の安定化、光学回路のパワー損失の低減化を図り、新しい物質でコヒーレントフォノンの測定を行う計画である。さらにパルス幅の短縮化によって周波数帯域の拡張を試みる予定である。
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Research Products
(2 results)