層状結晶における励起子系の多体効果と光誘起空間凝縮相

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09440121
• Research Institution: Osaka City University
• Principal Investigator: 唐沢 力 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90106336)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 赤井 一郎 大阪市立大学, 理学部, 講師 (20212392) ; 小松 晃雄 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90047134) ; 飯田 武 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047191)
• Keywords: 層状結晶 / 高密度励起子 / BiI_3 / GaSe / 積層欠陥励起子 / 励起子のボーズ凝縮 / 縮退四光波混合 / 非線形光学応答

Research Abstract

@ BiI_3結晶中の積層不整二次元界面に励起される擬二次元励起子(SFE励起子)を、窒素レーザー励起色素レーザーを用いて高密度に生成し、ポンプ・プローブ吸収とポイント励起発光スペクトルに空間分解分光法を適用してその空間的挙動を遷移スペクトルの変化より調べた。その結果、励起強度に応じてより広い空間域へ拡がる励起子成分が検出された。この挙動を、励起子の二次元流として解析し、減衰時定数の測定値などから、この成分がコヒーレントに空間を集団運動していることを明かにした。
@ このSFE励起子系に、モードロックNd:YAGレーザー励起のピコ秒色素レーザーを用いた諸種のピコ秒分光を適用した。ポンプ・プローブ吸収からは、高密度成分がポラリトンの群速度に匹敵する速さで空間を移動していることを見出した。また、強励起下での発光の空間ー時間分解スペクトルから、高密度効果でスペクトルシフトする成分が、時間・空間的に振舞うダイナミックスを明らかにした。さらに、2光束を空間分離した縮退四光波混合(DFWM)信号の検出を行い、高密度下で空間伝播してきた励起子成分による信号の発生を確認した。これら励起子集団の振る舞いとボーズ凝縮の可能性を議論した。
@ GaSe結晶の励起子遷移域を、ピコ秒色素レーザーで共鳴励起してDFWM信号を検出し、励起子共鳴より低エネルギー側に励起子分子によると思われるスペクトル成分を見出した。また、2光束空間分離励起で、高密度励起子の集団運動によると思われる信号強度の波数べクトル依存性を見出した。
@ 理論的には、理想的にコヒーレントな高密度励起子集団のダイナミックスを、非線型Schrodinger方程式を計算することによってその時間・空間発展を明らかにした。その結果は、BiI_3高密度SFE系の異常な時間・空間的的挙動と比較検討し、励起子のボーズ凝縮相の可能性について議論した。

Research Products

• [Publications] H.Mino,T.Kawai,I.Akai,T.Karasawa: "Spatial Propagation of Quasi Two-dimensional Excitons in a Layered Crystal BiI_3 under the High Density Excitation" J.Lumin.76&77. 109-112 (1998)
• [Publications] H.Kondo,H.Mino,T.Karasawa: "Spatial Propagation of High Density Excitons Localized at a Stacking Disorder Plane in BiI_3" Physical Review B. 58. 13835-13846 (1998)
• [Publications] M.Suzuki,T.Iida: "Time-resolved Secondary Emission from the Three-level Electron-Phonon Coupled Systems 1:Numerical Study of Radiative and Nonradiative transitions" Physical Review B. 57. 370-378 (1998)
• [Publications] S.Takeyama,Y.G.Semenov,T.Karasawa: "An approach to the exciton magnetic polaron bifuration problem studied in Cd_<1-x>Mn_xTe-Cd-Te-Cd_<1-y>Mg_yTe asymmetric single quantum wells" J.Crystal Growth. 184/185. 907-911 (1998)
• [Publications] M.Tsubota,T.Iida: "Superfluidity and voltex-lattice formation in quasi two-dimensional exciton system" J.Low Temperature Phys.113. 1165-1170 (1998)
• [Publications] H.Nitta,M.Suzuki,T.Iida: "Calculation of One-and two-photon abosrption spectra of crystalline C_<60>" Solid State Commun.109. 283-288 (1998)
• [Publications] H.Mino,T.Kawai,I.Akai,T.Karasawa: "A Study of High Density Excitons and Their Spatial Correlation in a Two-dimensional Space of a Planar Defect in BiI_3" J.Electrochemical Society.(発表予定). (1998)
• [Publications] 三野弘文、山本勝哉、河相武利、赤井一郎、唐沢力、小松晃雄: "層状結晶BiI_3結晶の二次元積層界面に励起された高密度励起子系のコヒーレント伝播の観測" 光物性研究会'98論文集. 121-124 (1998)
• [Publications] 山本勝哉、三野弘文、赤井一郎、唐沢力、小松晃雄,V.F.Aguekian: "層状結晶GaSeの高密度光励起による光学応答" 光物性研究会'98論文集. 113-116 (1998)
• [Publications] 新田仁、鈴木正人、飯田武: "強い電子格子相互作用系における正孔注入と多重安定構造" 光物性研究会'98論文集. 315-318 (1998)