1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440124
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
池田 進 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80132679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 豪 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (90249904)
大友 季哉 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (90270397)
鬼柳 善明 北海道大学, 工学部, 教授 (80002202)
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Keywords | 中性子 / 不純物 / 温度測定 / 微量分析 |
Research Abstract |
本研究は、中性子共鳴吸収法を用いて、半導体中の不純物原子の運動、高温超伝導体を構成する原子各々の運動、合金クラスターの極限構造における原子運動、レーザー発光体の中の不純物原子の励起状態等を観測し、通常とは大きく異なった構造下にあると考えられる不純物原子運動とマクロ現象との相関を研究することを目的としている。さらに、非破壊微量分析や内燃機関等の内部温度測定等の工業利用の可能性を探ることを目的としている。 平成9年度は、検出能力を著しく向上させた中性子共鳴吸収用γ線検出器システムを新設し、これを用いた中性子共鳴吸収装置を30mの位置に設置した。さらに、不純物原子の運動の温度変化を効率良く行うために、4Kから300Kまでの温度変化が可能なトップロ-デイング型試料冷却装置を作製した(部品を購入し、くみ上げ、総合調整を行った)。これを使い、次のような中性子共鳴吸収法を基礎的研究を行った。 1.中性子共鳴吸収法の応用限界のテスト。30mの位置に設置することによって、以前に比べ(以前は9mの位置に設置されていた)、中性子のエネルギー分解能が向上したことが確認された。これによって、1-300eVの中性子共鳴エネルギーを持つ元素に対して、この方法が可能となってきた。このエネルギー範囲の拡張により、Cuが応用範囲内に入り、本研究法の応用物質が著しく拡大してきた。 2.超イオン導電体AgI,AgSIの中のAgおよびIのkinetic energyの温度変化の測定。超イオン導電体AgI,AgSIの中では、Agは臨界温度(約400K)以上で、結晶内を動き始める。本装置を応用し、AgとともにIのkinetic energyを区別して、温度測定することに成功した。 3.酸化物超伝導体La2-xBaxCuO4の中の不純物であるBaそして超伝導を実現するCuの温度変化をそれぞれ測定することに成功した。
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