1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大政 義典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30301229)
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Keywords | 水銀 / サファイア / 濡れ転移 / 偏光解析 / 高温高圧 / 界面現象 / 液体-気体臨界点 / 金属-非金属転移 |
Research Abstract |
日常経験からも明らかなように、ガラス基板上の水銀は球形の液滴になる。この現象は水銀がセラミックスに殆ど濡れないことを示している。ところが我々は、液体-気体臨界点近傍では水銀がサファイア表面に濡れることを発見し、この濡れ現象がprewetting transitionと呼ばれる一次相転移であることを明らかにした。prewetting lineは、濡れ温度(Hg/サファイア系では約1310℃)においてバルクの飽和蒸気圧曲線から低圧側にずれ始め、臨界点で終端する。水銀/サファイア系の臨界点は、バルク水銀の臨界点(1478℃、167MPa)より僅かに低温・低圧の1468℃、158.6MPaにある。 さて、濡れ現象などの界面現象を詳細に調べる有力な方法の一つが偏光解析法であるが、サファイアは複屈折性を有するため、従来は偏光解析には不適であると考えられてきた。しかし、我々はこの欠点を逆に利用することにより、高温高圧下での偏光解析実験技術を新しく開発することに成功した。具体的には、ランダム偏光した光をサファイア/水銀界面に45度の傾きで入射させる時、水銀試料が光学的に一様な場合には、二つの偏光成分(S波とP波)は同じ反射特性を示すが、濡れ層が形成されている場合のみ、サファイアの複屈折性が効いてS波とP波は僅かに異なる方向に反射され、各々の強度測定を行うことにより偏光解析が可能になる。この方法は通常の偏光解析法とは異なり、光の位相を測定する必要がないため、高温高圧下でも適用することができる。こうして水銀の濡れ層の厚みや密度の正確な見積ができるようになってきたので、濡れ転移の臨界現象としての側面の解明と同時に、濡れ易さについての微視的な議論が可能になりつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Ohmasa et al.: "Ellipsometric Study of the Prewetting Transition at Mercury-Sapphire Interface" J.Phys.Condensed Matter. 10. 11589-11594 (1998)
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[Publications] M.Yao et al.: "Dynamics in Supercritical Fluid Water" J.Phys.Condensed Matter. 10. 11459-11468 (1998)
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[Publications] F.Hensel et al.: "Wetting Phenomena Near the Bulk Critical Point of Fluid Mercury" Ber.Bunsenges.Phys.Chem.102. 1798-1802 (1998)
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[Publications] K.Okada et al.: "Dielectric Relaxation of Water and Heavy Water in the Whole Fluid Phase" J.Chem.Phys.110. 3026-3036 (1998)
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[Publications] Y.Ohmasa et al.: "Wetting Phenomena at Mercury-Sapphire Interface under High Temperature and Pressure" J.Non-Cryst.Solids. (印刷中).
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[Publications] M.Yao: "Landolt-B(rnstein, New Series III/41, Chap.9.1.IAx-IBy Compounds" Springer Verlag, 12 (1998)