1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80181600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 耕作 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90013515)
石田 憲二 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90243196)
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Keywords | 超伝導 / ルテニウム酸化物 / 層状酸化物超伝導 / NMR / アイソトープ効果 / 異方的超伝導 |
Research Abstract |
本研究の目的は、層状ルテニウム酸化物Sr_2RuO_4の超伝導状態を究明することにある。今年度の成果をまとめると以下のとおりである。 1.単結晶育成条件を最適化することによって、1994年の我々による発見当時0.9Kであった超伝導転移温度を1.51Kにまで高めた大型の単結晶を再現性よく育成できるようになった。 2.非磁性不純物や格子欠陥の影響を詳しく調べることで、Sr_2RuO_4の超伝導状態が少なくともs波でないことを確定した。 3.試料結晶中の酸素16を酸素17に置換することで、酸素の核磁気共鳴実験を進めた。これまでの実験で、異なる原子位置の酸素の信号の分離に成功した。またスピン磁化率の測定から、異方的超伝導状態を決定づけるデータが出始めている。 4.試料結晶中の酸素16を酸素18に置換することで、超伝導転移温度に対するアイソトープ効果を調べる実験を進め、これまでに電子・格子間相互作用に基づく通常の超伝導体ではあり得ない結果を得た。今後はデータの数をさらに増やし、再現性を確立する。 5.磁場方向と試料結晶の方向を正確に制御し、0.1Kまでの低温で比熱測定する装置を完成させ、装置の確度・感度を確認するための基礎データを得た。現在、Sr_2RuO_4の比熱の測定にとりかかっている。 6.多くの研究協力者に単結晶試料を提供して行っている共同研究から、トンネル効果によるs波超伝導体との競合現象、ミューオンスピン回転による超伝導状態での内部磁場の発生、中性子回折による特異な磁束四角格子の観測等、スピン三重項超伝導状態でないと説明の困難な結果が複数得られた。 7.Sr_2RuO_4の超伝導状態の対称性、発現機構、磁束格子の振るまいなどに関する有力な理論が、分担者および研究協力者から提出された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Maeno: "Electronic ststes of the superconductor Sr_2RuO_4" Physica C. 282-287. 206-209 (1997)
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[Publications] Y.Maeno: "Two-dimensional Fermi-liquid behavior of the superconductor Sr_2RuO_4" J.Phys.Soc.Jpn.66・5. 1405-1408 (1997)
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[Publications] K.Ishida: "Anisotropic pairing insuperconducting Sr_2RuO_4 : Ru NMR and NQR studies" Phys.Rev.B. 56・2. R505-R508 (1997)
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[Publications] K.Ishida: "Anisotropic pairing in superconducting Sr_2RuO_4 (T_c=0.7K)" Physica C. 282-287. 1369-1370 (1997)
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[Publications] S.Nishizaki: "Evidence for unconventional superconductivity of Sr_2RuO_4 from specific-heat measurments" J.Phys.Soc.Jpn.67・2. 560-563 (1998)
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[Publications] A.P.Mackenzie: "Extremely strong dependence of superconductivity on disorder in Sr_2RuO_4" Phys.Rev.Lett.80・1. 161-164 (1998)