1998 Fiscal Year Annual Research Report
白金微粒子を用いた2段核断熱消磁法によるヘリウム3-4混合液の超流動探索
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09440140
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
畑 徹 大阪市立大学, 理学部, 教授 (10156333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 明 大阪市立大学, 理学部, 助手 (00229519)
石川 修六 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (90184473)
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Keywords | ヘリウム3-4混合液 / 超流動 / 核断熱消磁法 / 界面熱抵抗 / 粘性 / 超低温 / 熱交換器 / 白金微粒子 |
Research Abstract |
今年度はまず過去の実験結果をもとに冷却のシミュレーションを行い,測定セルおよび冷却用の核ステージの最適化を調べた。その結果,ヘリウム3-4混合液は温度計に比べて早く熱平衡に達すること,また温度計の熱平衡時間が非常に長いことから,温度計の核のゼーマン比熱を小さくする必要があることがわかった。冷却の最低温度は冷凍機の冷却能力ではなくてむしろ熱侵入を如何に抑えるかがポイントであり,過去の熱侵入量の1/8に落とすと混合液を50μKまで冷却できることもシミュレーション上から明らかになった。熱侵入量を1/8以下にするためには二重構造の測定セルにする必要があるが,内セルと外セルとの熱交換器の表面積比に関しては従来は10:1に設定していたが3:1程度に外セルの容量を大きくする方がよいこともわかった。2つの核ステージ間をつなぐ熱スイッチについては,単結晶のインジウムかスズを検討している。単結晶のものは文献によると,約一桁熱伝導度がよく,熱スイッチをよりコンパクトにすることができ,充分な測定空間を確保するためにも重要である。測定セルの素材としては,核比熱の小さい「銀」が今のところ最適であり,設計・製作段階に入った。次に,8T-15T超伝導磁石の性能チェックも行い,両方とも定格どおりの性能であること,両方の超伝導磁石の同時励磁でも問題がないことも確認できた。長期実験上で問題となる冷凍機の液体ヘリウムの消費も20リットル/日で今までのものと大差がなく,長期測定に充分耐えうる性能であった。
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