1998 Fiscal Year Annual Research Report
変異と選択による蛋白質フォールディング問題への統計力学的アプローチ
Project/Area Number |
09440147
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹井 理生 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (30178628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 哲也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00222399)
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Keywords | 進化 / 蛋白質フォールディング / スピングラス / ランダムペプチド / 実験室内進化 |
Research Abstract |
蛋白質のフォールド能力は進化の歴史上で、いつどのように獲得されたのであろうか?可能な配列数は莫大で、生物の進化史的な時間の範囲内に広大な配列空間をくまなく探してフォールド能力を持つ特殊な配列を見つけることは不可能であるように思われる。もし、広大な配列空間の一部だけから現存の蛋白質が選ばれてきたとしたら、それはどのような仕方によってであろうか?この問題を考えるために、経験的ポテンシャルを用いた模型が分析された。データベースから導かれたポテンシャルにより経験的ポテンシャルが構築され、機能を持つ配列を選択するだけでフォールド能力を持つ配列が自然に選ばれる、というシナリオの妥当性が検証された。その結果、機能を持つ配列を選択するだけで、ユニークな構造にフォールドする能力、コンパクトさ、2次構造など、蛋白質らしさに関する重要な特性が獲得される、という結果が示された。また、機能を持つ全体構造は非常に多数存在し、その一つがゆらぎによって偶然選ばれること、選ばれた全体構造を最安定化するように配列は進化せず、機能を保持できる範囲の多数の配列の間を中立的にゆらぐこと、この2つの理由により、全配列空間の網羅的探索なしでも、実際的な時間内でフォールド能力を持つ配列が選択されうることが示された。実験的にもランダム配列を機能によって選択することの可能性が示された。今後、実験と理論が協力してさらに新しい展望を開くことが期待できる。
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[Publications] S.Saito,M.Sasai and T.Yomo: "Gradual Development of Folding Ability by Functional Selecti" AIP Proceedings of Biological Physics. (印刷中).
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[Publications] T.Yomo,S.Saito and M.Sasai: "Gradual Development of Protein-like Global Structures through Functional Selectio" Nature Stract Biology. (印刷中).