1999 Fiscal Year Annual Research Report
新手法を用いた 電子と環境大気分子との共鳴散乱に関する包括的研究
Project/Area Number |
09440152
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
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Keywords | 電子衝突 / 大気分子 / トロコイダ ルアナライザー |
Research Abstract |
今年度は、昨年度からの課題として残っていた、電子検出器、磁場コイルの改善、および電源制御システムの改良などを行い、測定システムを完成させた。 電子検出器については、強磁場中での動作が可能なように、これまでの二次電子増倍管から、磁場の影響を比較的受けにくいマイクロチャンネルプレートに変更した。これにより、磁場中においても電子検出器を使用することが可能となり、より微弱な信号を検出することも可能となった。 磁場の一様性は本装置のエネルギー分解能に大きく影響するが、一様性の向上を目指し、磁場コイルの改良を行った。そのために、まず、ソレノイドコイルの長さを延長した。そうすることにより、衝突領域やエネルギー選別器が設置されているコイル中心部において、ソレノイドコイルの末端部における磁場歪みの影響を受けにくくなる。更に、コイルの線材をより細くし、巻数を増やしてより密なイルとした。これらの改善によって、コイル中心部での磁場一様性が大幅に向上していることが確認できた。 また、昨年度までに製作した電源制御システムとデータ測定・解析システムを一つのプログラムに統合することにより、より簡便かつ正確な操作が可能なように改良した。 これらの改良により、大気化学に密接に関連した分子に対する断面積測定を行うシステムが完成した。これを用いて得られた初期的成果を、「第21回原子衝突物理国際会議(於:仙台市)」においてポスターにて報告した。会議では、本装置で採用した新たな手法に注目が集まり、今後行うべき課題などについて、各国の研究者と活発な議論を行うことができた。
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