1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09440156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹井 洋一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20012924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 助手 (70242154)
歌田 久司 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70134632)
渡辺 秀文 東京大学, 地震研究所, 教授 (20113649)
力石 國男 弘前大学, 理工学部, 教授 (70038561)
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Keywords | 伊豆諸島海域 / 海底ケーブル電場 / 地磁気観測 / 離島効果 / 海流のダイナモ作用 / 黒潮蛇行 / 潮汐磁場 / AFMT法比抵抗探査 |
Research Abstract |
三宅島においては8ヶ所においてプロトン磁力計による全磁力観測を,また島内9ヶ所に電極を埋め,NTTの電話回線を利用して長基線の電場測定(8チャンネル)を継続した.八丈島-三宅島,三宅島-伊豆大島間の海底ケーブルを利用して,電場測定を継続した.八丈島に2ヶ所,神津島に1ヶ所の全磁力観測を継続し,新たに98年6月から御蔵島の1ヶ所で全磁力連続観測を開始した.海流に誘導された電流は高比抵抗な離島を避けるように流れるが,一部は島内に流入して,陸上に電磁場をつくる.陸上の電磁場を定量的に見積るためには,離島の比抵抗構造の知識が不可欠である.そこで平成9年度に引続き,オルレアン地球物理研究施設(フランス)のJ.ZLOTNICKI博士との共同研究で,三宅島の20地点でAFMT法による比抵抗探査を行った. 三宅島においては,黒潮が島からかなり離れた場合に全磁力が減少することが判明して,黒潮のバイアスを受けない基底状態が求められる.同様なことを期待して,八丈水路観測所の全磁力および3成分データを解析した.しかし八丈島では三宅島と同様な現象は見られず,基底状態を推定するには困難がある.これは八丈島付近では,変動する黒潮の流向が時に南に向かうこともあって,負の全磁力を作る場合があるからである.特に水平成分に異常変化が小さく,鉛直成分のみ大きく変動する場合がある.三宅島の潮汐磁場の解析結果からの類推によって,これはシアを持つ流れ(即ち強い反流を伴う黒潮)が八丈島付近を通過する際に起こる現象と推定された.三宅島の長基線電場の変動は潮汐成分ならびに黒潮変動に伴う部分共に,海底ケーブルによる電場変化と非常に相関が良い.海底ケーブルによる電場は南北成分しか得られないので,陸上の長基線電場から求められる水平2成分の平均的電場を入力として,黒潮の変動に伴う磁場変化を補正できる可能性がある.ただし陸上の電場測定では通常は降雨によるドリフトが大きく,長期変動の補正に使えるかどうか慎重な検討を要する.海水に接続しやすい海岸付近の電極については降雨の影響が小さいように見える.
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[Publications] SASAI,Y.et al: "Electromagnetic Monitoring of Miyake-jima Volcano,Izu-Bonin Arc,Japan : A Preliminary Report" J.Geomag.Geoelectr.49. 1293-1316 (1997)
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[Publications] 力石国男・他: "海底ケーブルを用いた対馬海峡・津軽海峡の流況監視" 月刊海洋. 30・8. 467-472 (1998)
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[Publications] 力石国男・他: "電位差の観測による対馬暖流のモニタリング" 九州大学応用力学研究所研究集会報告. 10AO-S4. 20-25 (1998)
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[Publications] 渡辺秀文: "伊豆大島火山1986年噴火の前兆過程とマグマ供給システム" 火山. 43・5. 271-282 (1998)
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[Publications] UTADA,H., et al.: "Seismic Resistivity Changes Observed at Aburatsubo,central Japan,Revisited" Tectonophysics. 299. 317-331 (1998)
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[Publications] UYESHIMA,M.,et al.: "Directional Properties of VAN's SES and ULFMT Signals at Ioanina,Greece" Phys.Earth Planet.Interiors. 105. 153-166 (1998)