1998 Fiscal Year Annual Research Report
高封圧高温下の岩石の変形破壊実験による地殻のダイナミックスと地震発生機構の研究
Project/Area Number |
09440159
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 充彦 京都大学, 防災研究所, 教授 (60025369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳谷 俊 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00259128)
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Keywords | 岩石の強度 / 高封圧 / 高温 / 脆性-延性 / 寸法効果 / 地殻 / 地震発生層 |
Research Abstract |
封圧3GPaまでの岩石の変形破壊実験から、摩擦強度と圧縮強度が等しくなる封圧領域での破壊はそれ以下の封圧で起こる既知の脆性破壊とは異なる機構を示し(夫々、高圧型及び低圧型破壊と呼ぶ)、岩石の強度に及ぼす寸法効果を考慮すると地殻の地震発生層での破壊は高圧型である可能性がある。 高圧型領域の封圧1.5GPaで乾燥状態の万成花崗岩の600℃までの強度の温度変化の実験が行われ、200℃と280℃の温度範囲で強度は異常に低いことが明らかにされた。この花崗岩は、温度500℃程度までは巨視的には脆性的な振舞を示す。しかし回収試料の光学顕微鏡観察からは脆性因子と結晶塑性因子の共存が明らかになった。低い強度は、温度の増加につれて、クラック群の活性化からそれらの停止と結晶塑性の卓越への移行によると解釈できる。すなわち、石英と長石の脆性因子と延性因子の兼ね合いにより、この花崗岩の強度は、温度250℃程度に極小をもち200℃から280℃まで異常に低くなったものと考えられる。 この実験結果を地震発生層の脆性-延性転移説に基づくリソスフェアの強度の推定に適用すると、極小値を持った低強度領域が深さ8〜14kmに存在する可能性がある。このことは地殻の地震発生層に対し別の解釈を与える。すなわち、地震は強度の低い深さで発生あるいは核形成しやすいことになる。 詳細な議論のためには、結晶塑性因子である転位の運動の透過電子顕微鏡による観察が必要であり、現在試料の準備中である。また、ここまでの研究に用いられた万成花崗岩は、試料の大きさに対して粒径が大きいため、細粒の岩石試料を用いた実験による確認も必要である。
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[Publications] 島田充彦: "高温高圧下の岩石の破壊強度と地殻地震発生層の脆性-延性説について" 地球惑星関連学会1998年合同大会予稿集. 288 (1998)
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[Publications] 川方裕則: "岩石試料内に形成される断層面の3次元観察" 日本地震学会講演予行集,1998秋季大会. 54 (1998)
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[Publications] 島田充彦: "高圧下の花崗岩の破壊強度の温度依存性とリソスフェアの強度" 高圧力の科学と技術. 8巻・特別号. 30 (1998)
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[Publications] Liu, J.: "Micromechanisms of fracturing in experimentally deformed rocks." Scientia Geologica Sinica. (印刷中). (1999)
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[Publications] Shimada, M.: "Temperature dependency of granite strength, under high confining pressure and the brittle-ductile hypothesis forseismogenic zones in the crust." Abstr.Int.Conf.Deformation Mechanisms, Rheology and Microstructures. (印刷中). (1999)
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[Publications] Shimada, M.: "Temperature dependence of fracture strength of granite under high confining pressures and its implications in the lithosphere strength." Proc.9th Int.Congr.Rock Mech.(印刷中). (1999)